Steel Line
ARGYLE CHAIR
TOKYO RECYCLE imptionに入社したのは、一台の椅子がきっかけでした。引っ越したばかりで家具がほとんど何もない中、床に座り作業や食事を数日していました。机はあったので、まずは椅子を買おうと色んな家具サイトを見ていた中、imptionを見つけ英国ビンテージのダイニングチェアに運命を感じ即購入しました。その日から当然ですが生活が劇的に快適になり、「椅子ってすげー。」とやたら感動したのを今でも覚えています。それ以来、家具の中でも特に「椅子」に惹かれることが多くなりました。
今回はデザイン、歴史ともにとても魅力的な一脚をご紹介します。
気品と心遣いのモダニズム
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まず特徴的なのは、高さ137cmもある背もたれ。何のためにここまでの高さが必要だったのでしょうか。
紅茶文化がとても盛んだった当時のスコットランド。1898年にアーガイル街にあるティールーム用に作られたのがまさにこの「アーガイルチェア」です。周囲からの視線を気にすることなく、プライベート空間を保ちながらゆっくりと会話を楽しめるようにと配慮されたが故の高さだったのですね。
デザインしたのはスコットランドのデザイナー、チャールズ・レニー・マッキントッシュ / Charles Rennie Mackintosh。
マッキントッシュといえば「ヒルハウス」という代表作で知られていますが、こちらのアーガイルチェアは彼が最初にデザインしたハイバックチェアです。大胆で派手な装飾が特徴だった古い西洋式スタイルが破棄され、機能的で実用的な洗練された“モダニズム”スタイルが出現したこの時代。マッキントッシュのデザインが求められたのも納得です。
背もたれの上部にある大きめの笠木部分にも、デザイナーの心遣いを感じます。当時の貴婦人たちのお茶会は、他人に聞かれたくないような噂話や愚痴、秘密の会話を楽しむ時間だったのかもしれません。
個人的には、横から見たこの美しいフォルムにうっとりします。気品と色気を併せ持ったような佇まいは、実用的な側面だけでなく、眺めるためのものとしてのマッキントッシュの空間デザインへの意識を感じます。
100年以上も前にデザインされたにも関わらず、むしろ現代のスタイルとしても全く古さを感じさせないまさに「名作家具」。
ニューヨーク近代美術館 MoMAの永久コレクションにも選定されている“椅子マニア”必見のアイテムです。
現在は販売されていないカッシーナ / Cassinaの302 ARGYLE CHAIR。こちらはイタリアSteel Line社からのリプロダクト品ですので、とてもリーズナブルなお値段でご用意させていただいております。あなたも椅子の魅力に憑りつかれてみませんか?