George Nakashima
GRASS SEATED CHAIR
伝説の木匠 George Nakashima。
自然に対して畏敬と敬愛の念を抱き、木に第二の人生を与えるという哲学の元、木の持つ美しさ、呼吸を活かす家具づくりを徹底しているジョージナカシマの作品は世界的にも評価が高く、どれも凛とした美しさを放つ名作ばかり。
当時、安価な素材で大量生産するモダニズムの主張が強い時代。時代の流れに反して自分の理念を突き通しつづけたナカシマの作品の数々は没後30年以上を経過した現代でも強く輝き、特別な光を放ち続けております。
本日は縁あって、そんなナカシマの起源ともいえる初期プロダクト” GRASS SEATED CHAIR ”の当時物がimptionに入荷してくれましたので、悦び勇みご紹介させていただこうかと思います。
半世紀以上前にインドNIDで現地の職人と協力し、初の家具の現地生産に挑んだナカシマの記念すべき一脚。
数々の名作椅子を世に生み出した伝説の木匠の最初の1ページを是非ご覧下さいませ。
ジョージ・ナカシマの初期の傑作作品。
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ジョージ・カツトシ・ナカシマ。それがジョージナカシマの本名となり、日本語名で中島勝寿と呼びます。
日本人ながらアメリカに生まれ、幼いころからボーイスカウトに所属し、豊かな自然に囲まれて育ちました。
幼い時から自然と触れ合い、木の魅力に惹かれていた経験が独特の美学や哲学が宿るきっかけとなったのではないでしょうか。
木の心を聴き、特徴、性質を掴み、無垢の堅木の木目や割れ目、木肌をそのまま生かして、木の生命観を力強く蘇らせる。
時代を超えて長く愛されるものを造る。
そんな力強い信念で造られる同氏の家具は、どれも大自然の温もりと木々の生命力が宿る神秘的且つ家具の範疇を超える存在感を放つ逸品に。
そんな同氏の原点ともいえるグラスシートチェアが誕生したのは1940年代。
元々MoMAのルネ・ダルノンクールの為に製造されたのがきっかけでしたが、1964年、インドのNID=National Institute of Designのキャンパスを訪れた彼は現地の職人と協力し、はじめて家具の現地生産を試みました。
時はその数年前の1937年、ヒンドゥー教修道院の建築計画でインドを訪れた同氏は、現地の工法やデザインで建築、家具デザインのスキルを磨いただけでなく、2年間修道者との共同生活を営むことでその深い精神を学びました。
そこでの経験がナカシマのものづくりの精神をより強固にしたと考えられており、感謝の念、インドへの愛情も含めてデザイン提供及び現地生産するに至ったと考えられております。
インドに自生しているローズウッド材(Dalbergia sissoo)とインドの蒸し暑い気候を配慮したグラスコードを使用した座面からなる造りは、まさに現地に合わせた工法とデザイン。
緩やかな曲線を描く背もたれと独自のラインを描く6本のスポークからなるバックシートのデザインが、軽やかな抜け感と洗練された空気感を纏う一脚として静かにその存在感を放ちます。
また通気性に優れ、程よいテンションを持つグラスコードからなるシートは心地よい寛ぎを提供してくれます。夏冬問わず快適な時を過ごすことが出来ることでしょう。
経年で深みを増す自然素材を使用した座面の特性上、経過した年月によって色味や風合いが変わってくるのですが、この個体はこの世に誕生してから既に半世紀以上たっておりますので、現行のグラスシートでは決して見られないビンテージ特有の表情が堪りません。
また名作椅子は360°どこから見ても美しいといわれておりますが、このチェアもその類に漏れず、様々な角度から眺めてもため息の出る様な美しさ。
通常斜め下からチェアをのぞき込むといったシーンは稀ですが、そんな角度でさえ絵になる完成されたデザインとなっております。
半月を彷彿とさせる優美な曲線を描く背もたれ、ナカシマの家具によく見掛ける"木"本来の形に近いスポークバック、躍動感を感じさせるどこかリズムのある佇まいが絶妙なバランスで組み込まれており、ずっと眺めていたくなるような特別な存在感を放つ一脚に仕上げられております。
後に世界を沸かせ、世界中から高い賞賛を受けることになる伝説の木匠”George Nakashima”が最初に手掛けた一脚「GRASS SEATED CHAIR」。
そのモノ作りの精神は当時から変わらず強く、その類まれない想いは美しいデザインに姿を変えて、現代に遺されております。
現代では桜製作所がグラスシートチェアを復刻しておりますが、こちらは当時、ナカシマが情熱を注ぎこみ生み出したオリジナルヴィンテージ。
一部展覧会などでしか実物を見ることが叶わない、歴史的価値のある極希少な作品となります。
現在imption祖師谷大蔵店に展示してありますので、是非この機会にご高覧くださいませ。