Japan Vintage
Medicine Chest
古き良き日本の家具。
時を経て育まれた木の質感や、ひとつひとつに刻まれた傷跡はまるでデザインの一部となり、現代に新たな命を吹き込んでいます。
その佇まいは「雰囲気」という一言では表せない、独特の説得力を放ち、ただの家具ではない特別な魅力を感じさせます。
本日ご紹介するのは、日本の古い薬箪笥です。
情緒あふれる時代の知恵
薬箪笥とは、薬を保管するために使われた、日本の伝統的な収納家具で、引き出しが数多く並んでいるのが特徴です。
時代劇の一コマや、映画「千と千尋の神隠し」に登場する釜爺の巨大な箪笥を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。
かつて医者や薬屋が使うため、持ち運び可能な小型のものから、壁一面を覆うような大型のものまで多様な種類が存在します。
今回ご紹介する薬箪笥は、21杯の引き出しが整然と並び、重厚でシンプルなデザインが目を引く一品です。
ネームホルダー付きの取っ手は時代を感じさせる古家具ならではディテール。
無垢材で作られた枠組みと引き出しは、安定感と堅牢さを兼ね備え、日常の暮らしに自然と溶け込む佇まいながらも、その存在感は格別。
奥行が抑えられているため、見た目以上に圧迫感がなく、どんな空間にも馴染むデザインが魅力的です。
下段の大容量の引き出しは、収納力も抜群で、使い勝手が良いのもポイント。
また、上下に分かれているため、別々に配置して使うことも可能。
ステーショナリーや日用品、雑貨などあらゆる物の収納に最適です。
各引き出しの裏面には段数と左右を示す番号が記されており、引き出しの正確な位置を把握できる工夫が施されています。
薬箪笥には非常に多くの引き出しがあり、それぞれに特定の薬や道具を保管するため、引き出しを正しい位置に戻すことが重要でした。
このような精密な機能性が、かつての医療現場でのスムーズな対応を可能にし、薬箪笥の一部としてデザインされています。
使い込まれた年月が生み出した風合いとして、取っ手の錆びや木材のヤレ感が美しさを引き立てています。
当時の職人たちが丹念に仕立てた古い日本の家具は、時を経るごとに深みを増し、その温かみと安心感が人々の心を捉えるのではないでしょうか。
時代を超えて受け継がれる、風格と温もりを感じさせる薬箪笥は、まさに日本の古家具の魅力を象徴する逸品です。