ジャパンビンテージ
ちゃぶ台と文机
戦後の日本。
様々な異文化が急激に流入し日本の生活様式は大きく変わりました。
そして高度経済成長期。
日本の西洋化は更に進み、独自の生活様式は薄れ、80年代後半には7割の家庭が西洋のスタイルに移り変わっていたそう。
生活の中心にあった家具もまた、大きな変化を遂げました。
本日紹介させて頂くのは、時代の荒波の中取り残されながらも今尚輝きを放つ家具。
生活の中心に当たり前にあった家具、日本の古いちゃぶ台と文机のご紹介です。
生活のかたち
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ちゃぶ台とは日本で用いられた四本脚の食事用座卓。
文机は床に座って使う低い木製の机のこと。
どちらも現代ではあまり見かけなくなった家具です。
どこか懐かしさを感じさせるこのふたつには当時を映す共通の特長があります。
これは当時の日本の生活様式に大きく関係しているもの。
テーブルと椅子を使う生活が当たり前になった現代。
ちゃぶ台と文机の共通点とは低めに設計された高さにあります。
こちらのちゃぶ台は高さ約30.5㎝。文机は34.2㎝。
座卓と呼ばれるように、床での生活が当たり前だった日本人の生活ならではのサイズ感で作られています。
元来ちゃぶ台の高さは15㎝から24㎝の間で作られるものが多かった様。
時代の流れで変化し最終の形態として30㎝前後の高さのちゃぶ台が一般的になりました。
少しづつ西洋化に近づいた名残なのでしょうか。
この高さの変化にも生活の移り変わるを感じることが出来ます。
共通点は高さだけではありません。
重量とサイズ感です。
日本の一般の住宅は狭く、大きな家具の設置は困難だったそう。
故に叶えられたのは楽な移動を可能にする軽量さと狭いスペースにも収納できる折り畳み機能。
文机もちゃぶ台も使わない時は簡単に仕舞えて簡単に移動できました。
椅子を使う机に比べて圧迫感がなく、狭い日本の住宅事情の理にかなったとても便利な家具だったのです。
今回入荷したちゃぶ台は角の取れた長方形の天板を持つタイプ。
深い杢目を持つ無垢材を経年が磨き、味わい深い逸品に仕上げています。
鮮明で美しい欅や落葉樹の栓等が主に使われていたちゃぶ台。
用の美という言葉がありますが、まさにその通り、生活の為の美しさを感じさせる逸品です。
当時ならではの組み方がなされた脚部も用の美を感じさせる点。
凸凹をつけた板で釘を使わず、前板と側板を組み合わせる手法「蟻組」がなされており、釘を用いず接合された繋ぎ目は象嵌を思わせる程。
脚はちゃぶ台でも稀にみられる竹脚。
素材そのままの形状と堅牢さを活かした脚が確りと支えてくれます。
文机は天板下に抽斗が2杯備わったもの。
文机としての必要最小限のシンプルなデザインに経年が加わることで、生活の美しさを感じることが出来ます。
片袖の文机はよく見かけますが、こちらは収納力があり筆記用具以外も仕舞えそう。
軽量なので気軽に移動も出来ます。
生活様式が変わった今日の生活にも馴染んでくれそうな不思議な佇まいを持っています。
大きく変わった生活様式。
それにより失われたものも多くありました。
モノが増え続ける現代。それにより選択肢も増え続けています。
それでも埋もれない魅力を放つのが時を纏ったビンテージの家具。
雰囲気があって深みがある、二つとないビンテージ家具を「かっこいい」や「かわいい」で選んでしまうのではなく、その家具が過ごした時間や、形状の理由を想いながら触れて頂きたいのです。
ジャパンビンテージ ちゃぶ台 角ちゃぶ 竹脚
ジャパンビンテージ 文机 抽斗2杯