Charlotte Perriand
Les arcs low table

本日は、フランスの巨匠シャルロット・ペリアンが母国の大規模建築計画に於いて、その後のインテリアデザインの流れに大きな意味を与える事となる、歴史に残るマスターピース的アイテム『 レザルク ローテーブル 』のご紹介♪

内に秘められた意味と価値

名作「オンブルチェア（ぺリアンチェア）」や「LCシリーズ」でも知られるシャルロット・ぺリアンは、1927年にル・コルビュジェのアトリエに入り、そのインテリアデザインのセンスを高く評価されたフランス人女性デザイナーです。

巨匠ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレとの共同作業等、数多くの名品を残した事で有名ですが、実はル・コルビュジエのアトリエで同僚だった坂倉準三や柳宗理の推薦によって、商工省の「輸出工芸指導顧問」として1940年に初来日以降、日本のデザイン界に多大な影響を与えた事でも知られています。

当時、柳宗理とともに日本全国をまわり、海外向けの工芸品の改良と指導を行ってきました。また滞在中に日本特有の「民藝」の理念に触れ、地方に根付く伝統的な意匠や素材、技術を、現代人の感覚と結びつける試みをしました。

度々日本を訪れ、日本を愛し、また多くの日本人に愛されたシャルロット・ペリアン。後の日本に与えた影響は勿論、彼女が遠方の国・日本で培ったものは、その後の母国フランスに於ける建築及び家具デザインにもあらわれています。

こちらは1967年にフランスのサヴォア県に建設されたスキーリゾート『 レ・ザルク / Les arcs 』の為に同氏がセレクトした「レザルクテーブル」になります。お金持ちの為の娯楽であったスキーが一般的になってきた当時、中流階級の家族が大勢集う寛ぎと刺激の場として、初めて一般層向けに建設される事となった大規模なスキーリゾート。建築家、デザイナー、大工、そして山岳ガイドからなるチームが結成され、絶頂期だったシャルロット・ペリアンはそのプロジェクトのまとめ役として抜擢されました。

一部の富裕層の社交場として雪山を眺める5つ星スイートではなく、地元の景観を維持しながら、多くの人が集うスポーツアクティビティの拠点。建物は山の斜面をたどり、雪で覆われた大きくて平らな屋根は上から見ると見えなくなり、来訪者に大自然の景色を提供し、環境保護への注意を最優先事項として計画は進められました。

建物は典型的な山小屋にカラートーンをあわせ、地元の羊飼いの小屋もそのままの状態で残す等、元々、大のスキー好きで山を愛していたペリアンにとって、山は心身の安定のバロメーターでした。

そんな自然と調和する建物の外観は勿論、内装やインテリアもそんな彼女の想いを体現したかの様な心休まる素朴でナチュラルなデザインです。使用されているパイン無垢材は、寒い地域でゆっくりと成長した良質な材木。イギリスで豊富な資源であったパイン材は元々建材として使用され、その残った端材等でハンドメイド家具として制作された事が起源とされています。

天板はパイン材の特徴でもあるはっきりとした節が所々見られ、自然と共に生活していると分かる安心感を与えてくれます。エッジは丸く削られ手触りも滑らか。余計な装飾のない直線構造故に、木の表情や細部の仕上げに、自然と人の目が留まります。

幅10cmと15cmの無垢材を集成した天板は垂直方向にも左右に無垢材を加え、反りを軽減させる構造。脚部もそれらとあわせて、真下にのび、ずっしりと力強い雰囲気を与えています。

ナチュラルな色合いは周りの木製家具やフローリングともよく溶け込み、デザイナーズアイテムのコレクションとしては勿論、日常使いとしてもコーディネートが容易。ソファやラウンジチェアとあわせて、様々なインテリアテイストで貴方好みのリビング空間を演出頂けます。

シャルロット・ペリアンが20年間に渡って手掛けた巨大スキーリゾート『 レ・ザルク / Les arcs 』の為に生まれたシンプルな無垢材家具。そのテーブルの価値は見た目だけのものではなく、日本での経験、自然への想い、人々や時代に与えた歴史的意味によるもの。時が経過した令和の日本に於いても居住空間にスッと溶け込む事自体が、その家具の" 真なる価値 "といっても過言ではありません。