Sibast Furniture
Office Desk No.275
惜しみなく良質な素材を使ったり、手作業で作られていたり、意外なプロダクトを有名なデザイナーが手掛けていたり、現代からみると昔の家具ってつくづく贅沢だなぁって思います。
とりわけミッドセンチュリー期はその羨望が顕著で、このL字型のデスクもまた老舗の工房と北欧モダンデザインの発展を支えたデザイナーのタッグによって生み出されたオフィス家具です。
いや、オフィス家具だなんて紹介したくない!それほどまでに美しく洗練された1台なのです。
抜かりない、すべて


どちらかというと機能面が重視されるオフィス用家具は、シンプルで無機質なイメージ。だからこそ1970年代に製造された、Sibast Furniture(シバスト・ファニチャー)の「No.275」がとりわけ贅を尽くしたつくりに思えるのかもしれません。
ユニットタイプのエグゼクティブコレクションとして1950年代後半に誕生した同シリーズ。当初はローズウッドを主材に、すべてが木製かつ丸脚デザインを採用した北欧らしい柔らかな印象のフォルムをもつプロダクトでした。



そこから年を経るごとにストレートラインが際立つシャープなデザインへと徐々にアップデートされていくことに。丸脚は角脚になり、把手には金具が用いられ、そして70年代にはいるといよいよ脚部フレーム自体が木製からスチール製へと変貌を遂げます。
金属のクールな風合いがローズウッドとの温感の対比を生みつつ、互いの渋みが調和する異素材ミックス。高級感と上質感を損ねることなく、程よくドライな洗練味を増しているように感じられます。



しかもサブデスクを主天板の下にフックで引っ掛けて取り付ける仕様だったり、天板が宙に浮いているような構造はユニーク。またトレイドロワー(サブ側)に白ペイントを施すところはチャーミング。
さらにメインの片袖最上段がガラス部分に飲み物、レザー部分に小物が置けるようトレイ式の補助テーブルになっているところや抽斗の側面から鍵を掛けられる設計はとってもクレバー。Arne Vodder(アルネ・ヴォッダー)だからこその細部へのこだわりが存分に詰まっています。



というのも、Finn Juhl(フィン・ユール)に師事する中でディテールの美しさを追求することを学んだ氏。どことなくこのプロダクトがディプロマットデスクを彷彿とさせるのは、その教えを敬意として表現しているからなのかもしれません。
フレームのつなぎ方や個性的な脚底アジャスターといったひとつひとつのパーツすべてが見事にデザインされ、その抜かりなさをシバストの技術が支える。彼らが手掛けた家具が、ホワイトハウスや国連、大使館などの格式高い場所に取り入れられているのにも納得です。

オフィス家具といっても、重役といった意味合いのエグゼクティブに分類されるアルネ・ヴォッターのNo.275デスク。デザインだけでなくしっかりと実用性も備えるからこそ、ビンテージ界の名作としてその地位を確立しているのでしょう。
その一方で、No.209に代表されるオールウッドタイプに比べるとスチールフレーム仕様は中古市場で出回る数が少ない希少な逸品。下世話ですが、海外では3桁を超える価格で取引される事例もあるほどのレアモデルです。
きっとオフィスに取り入れたならただならぬ風格で象徴的な存在になってくれるはず。もちろんご自宅でエグゼクティブ気分を味わうのもおすすめです。この力強くも繊細な無二の美しさを堪能できるのは、このデスクを前にした者だけの特権です。































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