zanotta
Reale Table
天は二物を与えず。ひとりの人間にいくつもの優れた才能や恵みを与えないという意味の有名なことわざです。
例えば容姿端麗でも勉強が苦手とかスポーツ万能でも絵が下手とか、ひとつでも優れた長所があれば同時に別の能力は持てなかったりどこかに欠点があったりするもの。
古くから伝わる言葉なだけあってたしかに、なるほどと思うこともありますが、まれにそんな概念を覆すほどたくさんの才能に秀でた人物が現れることがあります。
多才の凝縮

1905年、イタリア・トリノ生まれのCarlo Mollino(カルロ・モリーノ)は、教養も知識も運動能力も創造力もすべてを手にしたまさに天に二物も三物も与えられた人。
肩書きは建築家やデザイナーだけにとどまらず、写真家、作家、プロスキーヤー、カーレーサー、曲技飛行のパイロット、トリノ工科大学の教授と多岐にわたります。


それぞれの分野で名を残し、現在でもそれぞれの分野にファンをもつ氏。インテリアの世界に足を踏み入れたきっかけは、ジオ・ポンティから受けた椅子の制作だったといいます。
家具デザインを始めて約8年。1948年にイタリア最大手の保険会社・レアーレムトゥア社のために作られたテーブル「レアーレ | Reale」は、1990年からzanotta(ザノッタ)によって復刻生産されている彼の代表作です。


建築物の骨組みを彷彿とさせる有機的なフレームのモチーフは、航空機の翼。無垢材の中心をくり抜き組み込むことで複雑に絡み合うような網目状の構造を作り出しています。これにはパイロットの一面が生かされているのかもしれません。
また、天板には下方に向かって傾斜状にカットされたエッジをもつクリアガラスを採用し、全体的に軽快な佇まいを実現しています。


しかも天板からは脚部の構造美を一望できるだけでなく、斜めのカッティングにより輪郭に写る背景が歪んで見えるとってもユニークな仕掛けが。
意図されたものかは分かりませんが、天板を1枚の絵画やフォトグラフのように楽しむことができるこのデザインには、写真家である一端が如実に表れている気がします。


イタリアのルネサンス期に多芸多才を具現化したカルロ・モリーノは、インテリア界においても異色の存在といえるでしょう。
家具には本質的に軽さと動きの質を求めたという氏。きっと自身がもつさまざまな才能をすべて凝縮させ、遺憾なく発揮し、ひとつの作品として残すことができる特別な場所だったに違いありません。
生み出されるのはタイムレスな美しさを宿すオーガニックデザイン。でもおそらく見た目には分からない二物や三物が込められているはずです。































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