ザノッタ Zanotta メッザドロ スツール Mezzadro Stool アキッレ&ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ イタリア モダンデザイン ~逆説の小作人~

UPDATE: STAFF:よしお
ザノッタ Zanotta メッザドロ スツール Mezzadro Stool アキッレ&ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ イタリア モダンデザイン ~逆説の小作人~

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Zanotta
Mezzadro Stool

本日は、トラクターのスチール製シートを座面に用い、レーシングバイクの部品やスチールのクロスボウ状フレーム、帆船の横木等、既成の工業部品を組み合わせる事で、「レディメイド=既製品」の概念を家具デザインに取り入れた名作" ザノッタ / Zanotta "『 メッザドロ スツール Mezzadro Stool 』のご紹介♪

逆説の小作人

「レディメイド」という言葉で思い浮かべるのは、20世紀の芸術家マルセル・デュシャン。男性用小便器を使った作品「泉」や、スツールの上に車輪を乗せた「自転車の車輪」が特に有名です。「概念としての芸術」を追い求め、大量生産された既製品からその機能を剥奪し「オブジェ」として位置付けた事が、美術史の中でも特にセンセーショナルなものとなりました。

それまで奇抜な芸術作品は存在したとしても、それはキャンバスの画面、木を削る、鉄を熔かす等、それが創作物と分かるものであり、「絵画や彫刻として鑑賞出来るもの」でした。当時の人々にとってその根底が覆された時の心理的な抵抗は尋常ではなかったのではないでしょうか?

「アルコランプ」で知られるアキッレ&ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ兄弟が1957年に発表した『 メッザドロ スツール Mezzadro Stool 』も、そんな人々の戸惑いを見越しているかの様な皮肉めいた作品。

「メッザドロ」とはイタリア語で「小作人」を意味し、貧しい労働者の象徴であったトラクターのシートを、洗練されたデザイン家具として提示する皮肉とユーモアが同居した逆説的なデザイン表現です。

野外で泥にまみれて働く為の「農機具」を、ミラノの豪邸の洗練されたリビングルームに置くという行為は、正にデュシャン作品と同質のもの。また「農機の座面」「自転車のピン」「帆船の横木」という異なる世界の部品を合体させ、生じる不協和音は鑑賞者に「この組み合わせは何?」と思考する間を与えます。

デュシャンが「アートの放棄」というスキャンダルを起こした様に、カスティリオーニ兄弟は「デザインの放棄」により大きなスキャンダルとなりました。

当時のイタリアは戦後の復興期。高級木材や本革を使い、熟練職人の手仕事により美しい曲線の椅子を作り出す事が「至高の椅子」とされていた時代です。「良いデザインは職人が一から作るもの」「家具はこうあるべき」という人々の固定観念が強い時に突如あらわれた「既存のトラクターの座面をネジで留めただけ」という物体。後に「アッサンブラージュ(=寄せ集め)」と呼ばれる手法が、「デザイナーが形を作らず、選んだだけではないか!」と批判を受けた事は言うまでもない事です。

奇抜な芸術作品に対して「時代が早すぎた」という言葉はよく使われますが、同作が発表されたのは1957年。そのあまりに前衛的過ぎる異端が、製品化に至るまで約13年もの時間を要しました。ではなんでザノッタ社の製品化に至ったかって?

50年代の保守的なデザイン界で、それは「非常識な試作品」としてしか見られていませんでした。しかし、60年代後半になると、イタリアで既存の価値を打破しようとする「ラディカルデザイン」運動が巻き起こり、ポップアート等の影響も受けたことから、人々の間で" に機能だけではなく、遊び心や自由なメッセージを求める "という世間の土台が生まれました。

非常に挑戦的な起業家として知られていたザノッタ創業者アウレリオ・ザノッタは、そんな時代の空気感と、かつて大きな批判を浴び歴史に埋もれた「椅子らしきもの」が、新時代のライフスタイルに合致すると確信しました。トラクターの座面には鮮やかな色が塗られ、新時代の「知的なアートピース」としてその名を刻みます。現在ではニューヨークMoMAを始め、世界の著名な美術館にコレクションとして収蔵される等、高い評価を受けています。

泥にまみれた鉄の座

思考の間を生む美の違和感


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