CONRAD LEACH
高倉健
ジミヘン・・・オードリー・・・からのぉ~~~高倉健。
イギリスのポップアーティスト” コンラッド リーチ CONRAD LEACH “のシルクスクリーン。つい先日「たくさん入荷しました!」とご紹介したばかりですが、また新しい入荷がございましたので視点を変えて・・・。
作者のコンラッドリーチについては前回詳しく書いたばかりなので、特集『 眼差しの玉響 』をご覧ください。
不器用な眼差し

前回と比べると、ジミ・ヘンドリックスやオードリー・ヘップバーン等、一部同じものの入荷となりますが、背景の色と額縁が異なる為、同じモデルでも印象に違いが出る事に気が付きます。ジミヘンの白背景から黒背景に。元々モデルも黒のコントラストが強調されている作品なので、黒好きの方はこちらの方が好きかも?
オードリーヘップバーンは、鮮やかなブルーとピンクが入荷。前回の渋いゴールド色もエレガントでしたが、ポップに明るく、またガーリーな空間には特にピンクがハマりそうですね♪


いわゆる日本人の私達から見た時の外国人である彼らのポートレートとは異なり、俳優の高倉健さんがモデルの場合は急に日本的なものに思えてきます。単色の平面で構成される共通した背景も、金箔や浮世絵の様な表現に見えてくるのが不思議です。
しかしながら、作家はイギリスの方。馴染み深い日本の美術に類似するスタイルを持ちながらも、在日外国人の方が和室をオシャレにリノベーションしたお部屋の様で、平面に浮世絵とは異なる感性を感じさせます。
いや、それ以前にモデルに高倉健をチョイスした事自体も面白い。高倉健さんバージョンがある事は知識として知っていましたが、やはり現物を見るとその名優の佇まいやジャパニーズタトゥーから醸し出す雰囲気は、他のモデルとは一線を画します。



「ポートレート=肖像画」は、まだカメラが発明される以前、王侯貴族の名声や栄誉を残す為にあり、画家は「絵を写実的に描く職人」として、それを生業としてきました。本物の様に絵を描く時代が終わり、新たな美術表現を西洋が模索する中で、立体感や奥行無く、人や風景を表現する日本の伝統美術はセンセーショナルなものであったようです。
ゴッホもそんな日本の浮世絵に影響を受けた画家のひとり。作風への影響は勿論、浮世絵コレクターとしても実に500点以上を集めていたと知られています。
背景を描写せず、また空気遠近法の様にぼかして手前を立体的に見せる方法でもない。ただ単色で平面的に表現する無背景。しかしその余白は人の想像力を掻き立て、描かれたモデルの周囲に時間の流れや無限の空間を生みだします。
印象派や抽象表現主義、後の西洋の現代美術の流れに、「日本芸術の当たり前」は少なからず影響し、西洋の美術家達に「平面で世界を表現する」という視点を与えました。


ここまで色々語っておいて、いざ「高倉健ってどんな人?」と聞かれると「自分、不器用ですから」の人のイメージ。もちろんいくつか出演映画は見ているはずですが、実際、いつその名言を言ったのかと言われると、パッと答えられない世代です・・。自分よりもっと若い世代だと最近人気の漫画で高倉健さんの名前が出てくるので、「高倉健って、この人なんだ!?」と初めて顔を知る若い人もいるかも?
高倉健さん。その人が持つイメージは、大ファンの方、その人を知っている世代とそうでない世代、またそもそも同じ国に生まれていない人が見る時、その画面から伝わる情報が" 人により異なる "事も、美術鑑賞の面白さといえます。
ジェネレーションのギャップや、西洋の美術史に影響を与えた日本的な平面表現。そしてその作品を日本人ではなく外国人が作ったという事実。それら全ての要素がひとつの画面に溶け合い、モデルの眼差しとフラットな背景にアートの力を与えています。











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