コトブキ

スタジアムチェア

廉価、且つ高機能。 インダストリアルデザインに求められるそれらの共存は決して簡単なことではありません。 全ての面において美しくなければならない。 本日ご紹介させて頂くのはジャパニーズ・モダンの礎。 日本を代表するインダストリアルデザイナーが手掛けた名プロダクトです。

触れる為の美しい形

>>この商品の詳細を確認する イームズ夫妻の手掛けた名作、シェルチェアを彷彿とさせるフォルムと素材感。 どこかミニマムなデザイン。 シェルとベースのバランスが与える安定感。 スタジアムチェアは日本を代表するインダストリアルデザイナーのひとり、剣持勇氏によってデザインされました。 製造は「椅子のコトブキ」で知られるチェアメーカー“コトブキ KOTOBUKI”。 1914年創業の日本を代表する老舗メーカーです。 同じく日本を代表するインダストリアルデザイナー、柳宗理氏が手掛けた名作“エレファントスツール”の生産でも知られるコトブキ。 それにもまた、FRP樹脂が用いられていました。 きっかけは1950年代。 イームズのシェルチェア日本上陸にありました。 今でさえあらゆる場面で見かける樹脂製のチェアですが、見た目と座り心地、生産性の良さを叶えたそれらは当時、あまりにも衝撃的に映ったようです。 インダストリアルデザイナー、剣持勇氏もその影響を受けることに。 FRP製のチェアを作る試みをコトブキと共に始めたのです。 廉価、且つ高機能、そして大量生産を可能にした美しいデザインはこうして誕生しました。 どこかコンパクトなデザインは日本人の体型に合わせて設計した為。 程よいシェイプが身体を包むと同時に確りと支え、安定した座り心地を叶えています。 イームズのシェルチェア程背は高くなく、それが関係してかどこか柔らかい印象。 FRP樹脂特有の経年変化も相まって、深みを帯びた可愛らしさを感じさせてくれます。 その名の通り、スタジアムや駅等の公共施設で使われていたスタジアムチェア。 どこか既視感があるのはその為かもしれません。 屋外での使用も視野に入れられていた為耐熱性耐久性に優れたFRP樹脂は非常に魅力的な素材でした。 このチェアは残るべくして残ったビンテージと言えます。 ただ見た目が良いだけの家具や機能性の高いだけの家具で溢れる今日。 理にかなった美しいデザインに触れる機会は減ったように思います。 しかしそれらは無くならずどこかで使われ続けています。 今日も知らずと触れているのかもしれません。 用の美は形を変え、暮らしを最も美しい方法で支えてくれます。 その魅力に気付きたいものです。