GETAMA
GE258 Daybed
機能美、という言葉があります。
一昔前の未来人の服が全身タイツである理由は機能性志向が由来でしょう。おおむね機能美と言えますが、全身タイツのように機能があっても美が追いついていないパターンが往々にしてあります。
機能性を追求するから美しくなる。というよりも何故その機能が必要なのか?その機能の存在意義とは何か?を考え抜く過程にその美しさが滲み出るように思えます。
そんな機能美、と言う言葉がまさにぴったりなソファベッドのご紹介です。
衰えない機能美
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GETAMA社は1899年にデンマークのギズステズという町で、海藻を使ったマットレスを製造するメーカー として設立。当初はGedsted Tang- og Madrasfabrik(ギズステズ海藻マットレス社)という社名でしたが、デンマーク国内から世界進出を機にGETAMAに社名を変更し今日に至ります。
"GE258 デイベッド Daybed "は家具デザインの巨匠"ハンス・J・ウェグナー Hans J Wegner"によってデザインされ、1954年に発表されました。現在でもGETAMA社が製造・販売を行なっており、ウェグナーデザインの中でも特に評価の高いアイテムの一つとなっています。
もともとは学生寮のためにデザインされたというデイベッド。コンパクトさを要求されることからソファとベッドを兼ね合わせた省スペースな設計になりました。そのコンパクトさと機能性は都市部での住宅事情やニーズにも合致しそうです。
可動する背もたれが最大の特徴。背もたれを持ち上げることで座面マットレスのスペースが広がりベッドに早変わりします。背もたれ内部の空間は枕やブランケットを収納しておく、なんて事もできちゃいます。
GETAMA社は元々ベッドメーカーであったこともありマットレスの寝心地やシングルベッドとしてのサイズ感も申し分なし、といったところ。
ソファとして見てみると、広々とした3人掛け程度の横幅とフラットな座面は座ったり寝っ転がったりとリラックスできる体勢の幅が広く、一人でのゆったりとした時間から家族の団欒まで様々なシーンで寛ぐことができそうです。
この手のソファベッドではどちらかの機能がおざなりになっている、なんてことがありがちですがデイベッドに関してはそういった心配は無用です。
直線的なフォルムを活かして壁付けで使ったり、存在感を活かしてリビングでの仕切り的に使ったりなど様々なレイアウトに応えてくれるポテンシャルを秘めています。
脚元は抜け感のあるスッキリとした印象。貫の入っていない丸脚は現行品にはない仕様となっており、ビンテージ品でのみ手に入る希少なモデルとなっています。
ファブリックは後年に張り替えられている為、これからも実用頂けるコンディションです。モノトーンでまとめられたファブリックはビンテージ感のある木フレームを引き締め、都会的な雰囲気に。
全体を見ていくと、側面の留め具や背板など、デザイン的に割り切った部分があることに気が付きます。ウェグナーのデザインではこうした製造工程の簡略やコストの削減など制作側の事情も加味した納まりが度々見受けられ、家具職人として修業をした経験もあるウェグナーらしい気配りを感じさせます。
もちろんスタイリングがおざなりになっている訳ではなく、様々な課題を乗り越えたであろうウェグナーの力量の高さが伺えます。
そういったバランス感覚やコンパクトさの中で最大限ともいえる機能を持たせたこと、それが機能美として表出していることが人気が衰えないの理由の一つでしょう。現代の住宅事情にも通用するアイテムであることにそのデザインの完成度の高さが表れています。