BAU Workshop
Wood Cushion Personal Chair
力強いながらもその中にたっぷりと温もりを含んだ「無垢」の家具。
その質感が醸す静かな存在感に、心が引き寄せられます。
本日ご紹介するのは、なんとも不思議で心惹かれる一脚。
遊び心と技巧が交差するチェアです。
木でできた「座布団」
手がけたのは、北海道・旭川を拠点に創作家具を生み出す「バウ工房」。
大門 嚴氏、大門 和真氏の親子2代の磨き抜かれた感性が表現されるこの工房では、無垢材を自在に操り、唯一無二の作品を生み出しています。
そのどれもが、木という素材に対する深い理解と愛情から生まれたもの。
最大の見どころは何と言っても木のクッション、通称“木ション”。
ふわりとした布の質感やしわのディテールまで、すべてが木で再現されているとは思えないほどの精緻さ。
座布団の中央にあるしつけや四隅は黒檀で象られ、細部に至るまで職人の技が静かに息づいています。
一方で、フレームは軽やかで洗練された印象。
流れるような曲線が空間に余白を生み、クッションとのコントラストが美しく映えます。
見た目以上に座り心地は快適で、座面の硬さを感じさせない背中にそっと寄り添う設計が光ります。
時間とともに味わいを増す経年変化。
使うほどに自分だけの風合いが宿るのも、無垢材家具ならではの楽しみ。
もちろん、堅牢な造りもまた、日常使いに安心を添えてくれます。
こちらは北海道立旭川美術館に収蔵されているという由緒ある一脚。
現在では手に入れることすら困難な、希少なプロダクトとなっています。
空間にただひとつ、強く印象を残す特別な逸品のご紹介でした。