Kyrpings Mobelfabrik U-55 Arm Chair

本日も強風也。寒いのは勿論、肌が乾燥してくちびるもカサカサになるスピードに驚いています。 身体の粘膜が乾燥すると、花粉症にもしんどい影響が出てきそうですね。保湿・加湿をしっかりとして過ごして行きましょう。 さて、本日のご紹介は北欧ビンテージの1脚。 情報が少ないがゆえに、どこかミステリアスなアームチェア。どうぞ一緒にご覧になっていって下さい。

巷にも溢れていたモダンデザイン

>>この商品の詳細を確認する 今回はデンマークで造られた1脚。 とてもすっきりとしたシルエットで、ミニマルに近い印象を受けます。 製造を手掛けたのはキルピングス モｰベルファブリック | Kyrpings Mobelfabrik。 島国であるデンマーク。大きく分けると首都コペンハーゲンのあるシェラン島、大きな面積を保有するユトランド半島、そしてその間に挟まれたフュン島と分かれますが（※ちなみにグリーンランドもデンマーク領です。）、今回は最後のフュン島に存在したファニチャーブランドです。 確証は得られていませんが1958年頃に設立し、今回のデザイナーP・ウェルナー | P・Verner によるアイテムを多く手掛けたと思われます。 いずれのアイテムにも共通するのは、四角柱状の無垢材を取り入れながらもどこか柔らかいデザイン。 今回の椅子にはどんな柔らかさが感じられるでしょうか。 まずは特徴でもある半円状のアーム。無垢材がフィンガージョイントによって接続されて、すっきりとした見た目。 パーツを側面から眺めると、植物のイチョウのようにカーブを描いているのが分かります。 この溝は切削によって作られたものですが、アームに手を掛けた際握った指に引っ掛かりやすく、体感的に扱いやすくなっている工夫の一つ。 あまり大げさには見えませんが、丁寧に考えられたディティールです。 例えばデンマークのデザイナーといえば筆頭に挙がるハンス・J・ウェグナー。氏は素晴らしいアームチェアを多く手掛けています。 その特徴は、「扱い易いアーム」である事。皆さんご存知のYチェアやPP68、JH（PP）701、CH88T、CH20...などなど。 比較的全長が短いハーフアームという仕様が工夫として多くあり、腕を預けるという点と、ダイニングシーンで使い易い点を兼ね備えている事が人気の要因の一つになっています。 今回のアームチェアにおける特徴は「角度」。アームは背もたれに始まり、緩やかカーブを描いたのち地面方向へと下がって行きます。 アームハイト（高さ）は約60センチ。ダイニングチェアに付くアームとしては低めの部類になります。 テーブルの高さにもよりますが、これによってテーブルへのアクセスが良くなるメリットが見込めます。 そしてもう一点は「力の入れやすさ」。 腕は骨一本で出来ている訳ではなく、一の腕、二の腕と呼ばれる部位を関節で繋いで出来ているもの。 アームの位置が高いと立ち上がろうとする時には二の腕の内側（ちからこぶが出来る箇所）に力を入れなければいけませんが、低い位置にある事で腕は真っ直ぐに近くなるため、より少ない力で立ち上がる事が可能になります。 確かな技術で造られたアームは握りやすく、そして立ち上がりもしやすい。これが美しさを犠牲にしていないというところにデンマークらしいバランスを感じる事が出来て嬉しいところです。 ほかにも後ろ脚が中央に集まっているのも、3本脚の椅子と4本脚の椅子の良い所を兼ね備えたデザイン。 平行に並ぶ4本脚で多いカタつきが起こりにくく、3本脚で多い「かくっ」と倒れ込むアクシデントを減らしてくれます。 日本ではあまり知られていないふとした1脚にも、こんな幾つもの工夫が詰まっている。 凄い国なんだな、デンマークと改めて実感させてくれた1脚です。 ビーチの無垢材は健康的な色味、そしてブラックカラーのレザーでさっぱりとした印象を与えてくれます。 落ち着きのあるお部屋というよりかは、程良く緊張感のあるお部屋の中で快適に使えるチェアをお探しの方、同じモダンでもイタリアモダン等との架け橋をお探しの方にもお勧めなビンテージ。 同じものの入荷が難しいお品物となりますので、気になる方は是非この機会にご検討下さいませ。