GAVINA
Wassily Chair
バウハウスが先駆けたモダニズムデザイン。
デザイン確変期の1900年代前期から始まり、現代に至るまで芸術や建築など分野問わずデザイン界に影響を色濃く残しています。
工業生産時代を迎えるためのデザインの在り方。
その問いを模索し続けた結果、モダニズムの特長とも言える 「幾何学的であり、機能主義的」の作品を僅か14年の間に多く世に放ちました。
挑戦的・実験的に合理的な近代デザインを手掛けたバウハウス。
今回はそのバウハウスの一期生が手掛けた名作をご紹介致します。
モダニズムの原点。
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こちらは 『ワシリーチェア Wassily』 。
バウハウス出身の 建築家兼デザイナー”Marcel Breuer / マルセル・ブロイヤー” が手掛けました。
20世紀におけるプロダクトデザインと建築に大きな影響を及ぼし、今もなお、モダニズムにおける偉大な存在として賞賛され続けています。
初期は美術を専攻していましたがバウハウス在学中に多彩な才能が開花。
1925年から1928年まで、家具工房マイスターとして家具の製作に取り掛かります。
1925年、現在では名作と謳われるクラブチェアB3(現在のワシリーチェア)を製作しました。

スチールパイプを利用して作られた世界最初の椅子と言われています。
革新的な素材とデザインが両立されたワシリーチェア。
当時の家具デザイン界に大きな衝撃を与え、そして現在のデザインの礎となっています。

デザイン当初は ”クラブチェアB3” という名前だったワシリーチェア。
バウハウスで親交の深かったワシリー・カンディスキーが絶賛したこのチェア。
ブロイヤーは複製をプレゼントしたそう。
その後、ガビーナ社に販売権を売却し商品名を決める際、カンディスキーとのストーリーが決め手となり、現在の「ワシリーチェア」になりました。

発表した当時ではあまりにも前衛的な作品だったため評価されなかった同プロダクト。
しかし抽象絵画の創始者として著名であったカンディスキーが高く評価したこと、
それが理由で徐々に人々に魅力が伝わっていく事に。

ブロイヤー自身が出勤時に使用していた自転車からヒントを得たと言われています。
金属加工の方法をほぼ一から検討しデザインされたそう。
地元の配管工の技術を使用しチューブ状のスチールを用いた家具。
ワシリーチェアを含む彼のデザインは、現代の家具業界においても有名なアイコンとして受け継がれています。

シンプルな形の中に耐久性と美しさを共存させるための精密な技術が施されたスチールベース。
曲げ加工したスチールパイプのフレームに革を張るだけの、「線と面」だけで作られたシンプルかつ無駄のない洗練された佇まい。
娯楽性の高められた後傾デザイン。
浮遊感のあるフォルムは、不安定に見えるものの着座の際に居心地の良さを感じさせてくれます。

現在ではKnoll社から販売されているワシリーチェア。
今回紹介したのは 1960年頃から1968年まで製造していたイタリアの ”ガビーナ GAVINA ” 社から販売されたビンテージの貴重な個体となります。

ひび割れたレザー。
深みを増す艶、質感。
錆のあるスチールベース。
経年による表情の移ろいは”味”となり更なる魅力を放ちます。
現行では感じる事の出来ない佇まいは、コレクターズアイテムとして人気を博しております。

機能主義を体現したワシリーチェア。
のみならず、芸術と産業を調和させるというバウハウスの目的を具現化した逸品でもあります。
マルセルブロイヤーが現代に残したモダニズムデザインの在り方。
是非その魅力を体感してみてください。
