Carl Hansen & Son
CH29
作品としてのデザインではなく、実用性を共存させた家具としてのデザイン。
人体と触れる面積の広い家具、チェアにはキャビネットやテーブルとはまた違った意味でのデザインを与えなければなりません。
見た目の美しさと座り心地の融合を追い求め続けた結果、あるデザイナーは生涯に500以上ものチェアを手掛けることになります。
ピーコックチェアやYチェア、そしてザ・チェア。
その殆どが名作と称され今尚多くのファンを魅了し続けています。
本日紹介させて頂くのは椅子の巨匠が独自の哲学を持って完成させた名プロダクトです。
美のシンプルに宿る緻密な計算
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デンマークデザイン界において最も創造性と独創性に溢れたデザイナー、ハンス・J・ ウェグナー。
今回ご紹介させて頂くのはウェグナーが手掛けた名作であり代表的作品の一つ。
カール・ハンセン&サンのCH29、通称ソーバックチェアです。

1952年に発表されたソーバックチェア。
木工職人が用いるソーバックの造形に似ていることからこの愛称で親しまれています。
特徴はこの大きく刳り抜かれた背とコンパスの様な脚部。
そして美しい材と使い心地。
全ての要素が素晴らしくウェグナーデザインの完成度の高さを再認識させられます。

家具をよく理解し、生活の道具として常に使いやすさを忘れない。
ウェグナーのデザインスタイルはこのように称されています。
「デザインとは必要最小限なところまで、無駄をそぎ落とすということ」との言葉通り一切の無駄を極限にまで削ぎ落した洗練された美は緻密な計算と美意識によるものと言えます。

当たり前のように使い心地が伴うデザイン。
それは、彼がデザイナーである前に一流の家具職人であったことも要因の一つです。
使用する材料を知り尽くした上で、材料の特徴を最大限に活かす。
生産が行われる生産工場の技術特性までを把握しており、そのすべてがデザインに反映されていたと言われています。
比較的軽量ながら確りとした安定感と堅牢性は素晴らしく、美しいビンテージに成る事を知っていたと考えざるを得ません。

印象的な背のデザインは椅子を引く際の持ち手としてデザインされたとも言われています。
こうすることで見た目と椅子の重さをも軽減しています。
こういった箇所に触れる度、ウェグナーの偉大さと繊細さに気づかされます。
細かな工夫の積み重ねと緻密な計算。
限りないシンプルに宿る気品に込められた巨匠の哲学は物が蔓延する現代にも強い輝きを放ちます。
