Kartell
MOBIL 3 WAGON
家具をひとつ迎えるだけで、空間の空気がわずかに変わる瞬間があります。
Kartellの「モビル3 ワゴン」は、その変化がとても静かで、そして美しい。主張しないのに存在感がある。透明なのに奥行きがある。その矛盾した魅力に、つい視線を奪われてしまいます。
家具としての便利さだけでなく、まるでオブジェのように部屋の空気を整えてくれる、“隠す”と“透かす”のバランスが絶妙です。
今回は、そんなモビル3 ワゴンの魅力を紹介していきます。
透かすけど隠す

モビル3 ワゴンを初めて見たとき、家具というより小さな建築物のように感じました。
直線と曲線のバランス、引き締まった側面ライン、フレームの構造。すべてが過剰ではなく、必要最低限。
デザインを手掛けたアントニオ・チッテリオの“抑制された美”が、コンパクトな佇まいの中に凝縮されています。


光を受けるたび、半透明のアクリルボディが部屋の空気をわずかに動かすように感じます。
フロスト加工のように半透明な面は氷のようで、触れると冷たさではなく柔らかさがある、不思議な質感(ちなみに素材表名はice)。中身が完全に透けないのも嬉しいポイントで、生活感を絶妙に隠してくれます。

最下部にひっそりと配置されたX字のフレーム。
普段は見えないディティールなのに、構造を支えるためにこだわり抜かれています。表から見える部分だけでなく、影になる場所にも合理美を仕込むところが同氏らしいです。

キャスターが片側だけで接続されているデザインは、ワゴンの個性そのもの。
通常であればカバーを付けたり両側から支持する金具が見えるホイールを、片側で支える機構にデザインする事でより無駄の無い、洗練された形を作り上げています。
美しい...。

MoMAに収蔵されていると聞くと“アートとしての家具”のように感じてしまいますが、使ってみると拍子抜けするほど実用的です。
軽やかで動かしやすく、どこに置いても馴染む。
つまり、毎日の生活の中で美しさと機能性のどちらも諦めなくていいということ。これこそ、名作家具と暮らす醍醐味だと思います。

“隠す”と“透かす”のバランスがちょうどいいカルテルのモビル3 ワゴン。
中身をほどよく隠しつつ、家具自体は軽やかに見せてくれる、その絶妙さが魅力です。
実用的で動かしやすく、どんな部屋にもすっと馴染む。
名作と呼ばれる理由を、日々の暮らしの中で感じられる一台です。































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