Kartell
GHOST BUSTER
イタリアでの休暇中、イカ料理にレモンをかけたことがきっかけで誕生したイカみたいなレモン絞り器「ジューシーサリフ | JUICY SALIF」。
パリのゴミ捨て場に積まれていた椅子にインスピレーションを受けて作られた、座面の下がまるで抜け落ちたようなデザインの「リチャード3世 | RICHARD III」。
まさか自分の作品ではない名作椅子3脚のアウトラインをひとつに凝縮したチェア「マスターズ | MASTERS」。
一度でいいから頭の中を覗いてみたいと思わせるほどに斬新な発想ばかり。それはもう鬼才と言われるわけです。
この透明感、エモーショナル
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もちろんデザイン自体も個性的なのですが、何よりも「何に着想を得たか」というところが実に興味深いと思うんです。
フランス生まれの建築家兼デザイナー、Philippe Starck(フィリップ・スタルク)。浅草の金色のオブジェも彼の作品と聞くとやっぱり只者ではなさそうです。
スタルクの家具といえばプラスチックやポリカーボネートのイメージ。
この「ゴーストバスター | GHOST BUSTER」もアクリル樹脂で作られた同氏らしい、そしてKartell(カルテル)らしいアイテムです。
商品名としてはコンソールシェルフというのが正しいようで、ヨーロッパのアンティーク家具にみられる伝統的なコンソールをモチーフにしていることに由来しています。
これは、バロックスタイルを現代風にアレンジしたルイゴーストやビクトリアゴーストにも通じるデザインです。
直線を基調としつつ、緩やかなカーブを描く前面にクラシカルな雰囲気を感じられるとともに、立ち脚の長さや全体のサイズ感などはまさにアンティークの出で立ち。
そこに素材特有の透明感が加わることで光をもデザインの一部として取り込み、奥行きと浮遊感を演出しています。
実際にこのシェルフにディスプレイしてみると、まるで背板レスのように見える。窓際などの明るい場所に設置すれば、棚板やフレームが空間に同化して宙に浮いているかのように見える。
シンプルなフォルムとライン、マテリアルでありながら、きっとインテリアに不思議な感覚をもたらしてくれることでしょう。
その根幹にあるのは、いかに内面に訴えかけることができるか、いかに素材や重量、コストを節約できるかという奉仕するデザイン。
使いやすさもしっかりと保ちつつ、やや奇抜なアイデアをデザインとして形にしていくフィリップ・スタルクは、やはり天才としか言いようがありません。
自身の中に定めた制約の中で芸術的なインスピレーションを爆発させるエモーショナル(感情的)とエコノミー(経済的・節約)が、この家具をモダンクラシックの装いに昇華させているんだと改めて実感させられました。