Cassina
Sindbad 1P Sofa by Vico Magistretti
ソファといえば、フレームにクッションを組み合わせ、ファブリックやレザーで覆った姿を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、今回ご紹介するソファは、その常識を少し違う角度から捉えています。
馬着をまとう異端のデザイン

1981年から1998年まで生産されていた「シンドバッド」。イタリアの建築家・デザイナー、ヴィコ・マジストレッティが手掛けた、現在では入手が難しい一脚です。
その着想源は、馬に掛けるホースブランケット。ファブリックを家具に掛け、留めるという発想から生まれたシンドバッドは、一般的な張りぐるみのソファとは異なる、有機的で柔らかな表情を持っています。完成された家具でありながら、どこか自然体。その独特な佇まいが、思わず目を引きます。

マジストレッティの作品には、身近なものの仕組みを捉え直し、実用性と独創的な造形を結び付ける姿勢が見られます。
シンドバッドも、ソファという既存の家具を否定するのではなく、本体とカバーの関係を組み替えた作品といえるでしょう。普段は一体化して見える二つの要素を、独立したものとして考える。その発想が、家具に新たな表情と使い方の可能性をもたらしています。

特徴的な馬着を思わせるカバーの構成。ファブリックを本体に直接張り込むのではなく、掛けて留めるという考え方は、カバーを単なる装飾にとどめません。色や質感が変われば、同じソファでも空間に与える印象は大きく変わります。家具を一度完成させて固定するのではなく、素材との付き合い方によって表情を更新していく。シンドバッドには、インテリアをもっと柔軟に楽しむためのヒントが隠されています。

今回はフェルト生地のような触り心地のウールブランケット。鮮やかなレッドが目を惹きます。ポリウレタンフォームとポリエステルわたを組み合わせた丸みを帯びたシートに対し、黒いベースが明確な輪郭を与えることで、全体が重たくなりすぎない印象に。カバーの柔らかさと、脚部の引き締まった表情。この対比があるからこそ、シンドバッドはくつろぎを感じさせながらも、造形としての存在感を保っているのでしょう。

ゆったりとした座面とアーム、背もたれを備え、一度腰を掛けると全身の力がす~っと抜けていきます。読書や音楽鑑賞など、落ち着いた時間を過ごすための贅沢な一脚。リビングの主役にするのはもちろん、照明やサイドテーブルと組み合わせ、自分だけの居場所をつくるのにも最適です。直線的でミニマルな家具が並ぶ空間に置けば、柔らかな輪郭がほどよい変化を生み出します。

家具本体とファブリックを切り分けて考えることで、ソファの表情や使い方に自由を与えたシンドバッド。
1981年に生まれた発想が今も新鮮に映るのは、単に造形が古びていないからだけではなく、家具との付き合い方そのものを問い直してくれるからでしょう。この一脚が持つデザインの工夫と迫力、想像以上の座り心地を是非ぜひ実物で確かめてみてください。































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