Cassina
302 ARGYLE CHAIR
数々の名作が生まれた椅子。デザイナーの哲学やアプローチはそれぞれ異なるものの、全て共通することとして機能性と意匠を両立させています。
今回はそんなデザイナーズチェアデザインの中でも、歴史と品格ある作品をご紹介したいと思います。
優雅なひと時を
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こちらはアーガイルチェア。
高くそびえたつ優雅な装飾の背もたれが特徴的な1脚。皇室とか豪邸で超縦長のテーブルを囲む椅子として、ドラマやアニメで見たことはありましたが実物を見たのは初。
触るのもおこがましいくらいただただ品格ある存在感を放っています。
手掛けたのはアールヌーヴォーを代表するスコットランドの建築家、チャールズ・レニー・マッキントッシュ。グラスゴー美術学校やヒルハウス等の建築やチェアデザイン、画家として生涯活躍した人物です。
そのなかでもアーガイルチェアは1896年頃にデザインされたマッキントッシュの初期作品。本当に100年以上前のデザインなのか?と思わせるほど隙の見えない一脚です。
そもそもなぜこんなにも背を高くする必要があったのかと疑問に思う方もいるかもしれません。私は最初どうせ派手好きな貴族の道楽でしょ、と安直に考えておりましたがその考えは愚の極みでした。
実はアーガイルチェアはスコットランドのアーガイル通りの喫茶室のために作られたもの。
周りを気にせずに過ごせるプライベートな空間を演出するために、敢えてダイナミックにし他人との視線を遮れるようなデザインにしたのです。
機能としてはいわば仕切りのような役割を果たしているのにもかかわらず、その存在感はまさに主役級。
品格ある意匠や優美なディティールをもってして、後脚と背板を床まで一直線に一体化させることでバックデザインに表情を齎しています。
また、上部の笠木は着座した際に丁度よく視線が遮られる目隠しのような役割を果たしているそう。
そして彼の作品はどこか和モダンのような日本らしい趣を感じさせます。後に設計したヒルハウスは日本建築に影響を受けて建築したそう。もしかしたら日本への憧れやリスペクトが少なからずあるのかもしれません。
故に、日本の住宅とも程よくマッチし優雅でモダンな空間を演出してくれるでしょう。オブジェとしてディスプレイするだけでも非常に華があります。
”優雅に空間を御す”。これほど難儀な題目を実現してみせたマッキントッシュ。そういった空間演出だけではなく、座り心地も程よく居心地の良さを感じさせてくれます。
デザインのみならず、椅子としての機能面も確りと体現してみせた1脚。名作たる所以を随所に感じられる逸品のご紹介でした。