Westnofa
SIESTA
北欧デザインと言えばまず思い浮かべるのがデンマーク。
そしてフィンランド、スウェーデン。
北欧の良質なビンテージやデザインは今尚多くの人々を魅了しています。
それらに並ぶノルウェーもまた北欧の国。
しかし様々な要因が重なったことでノルウェーデザインは北欧の影の存在となってしまっています。
本日紹介させて頂くのはそんなノルウェーが生み出した一脚。
見過ごされがちな場所にも圧倒的な名作が生み出されています。
知られざるノルウェーデザイン、最高峰の一脚
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今回ご紹介させていただくのは名チェア「シエスタ SIESTA」。
最小限のパーツと極めてシンプルなデザインが目を惹くシエスタはノルウェーデザインの一脚です。
世界各国の美術館に納入され、ホワイトハウスにも16脚納入されているシエスタ。
北欧を代表するといっても過言ではない名作椅子のひとつです。
デザインを手掛けたのはノルウェーデザインの父と称される巨匠、イングマール・レリング。
ノルウェーの家具やインテリアデザインの近代化に大きく貢献したことで知られています。
代表的作品でもあるプロダクトがこの「シエスタ」でした。
発表は1965年。
レリングは一躍国際的な名声を得て、北欧デザイン界の中心的存在となりました。
先述したようにノルウェーデザインは近隣国のデザインよりも知られていません。
理由はデザインに対する独自の捉え方に在るようです。
原油国としても知られるノルウェー。
長年にわたり、原材料と天然資源を重視してきました。
農業や漁業、そしてガスや石油など、それに全力を注ぐことで繁栄し豊かな國へ地と成長したそう。
故にデザインに対する優先順位は必然的に下がってしまいます。
「目立たなくする」、「他人と違うことをしない」デザインは現在でも少なくありません。
その代わりにノルウェーはデザインに対して「ものを便利にする」点を根本的に重視する特徴が見られます。
機能性が常に最優先であるという考え方が主流なのです。
だからといって良質なデザインが無いわけではなさそうです。
シエスタが生み出された60年代。
デンマークで最高傑作といわれる名作が多く生み出された年代には興味深いノルウェーデザインが誕生していたという文献が残っています。
それと同時にマーケティングを不得意としていたというのも事実だそう。
スウェーデンやデンマークは自国のプロダクトの宣伝が上手だったといわれている為、より世界中に広がったのかもしれません。
様々な要因はノルウェーの名作を認知されない、影の存在としてしまいました。
そんな中で生まれたシエスタ。
無駄のないシンプルなフォルムに、少数のパーツで構成されたチェアデザインは高く評価されることになります。
レリングはイームズの影響を受けた建築家にデザインを教わった経験があり、その機能的で実用的なデザインはこのチェアに込められたのかもしれません。
「シエスタ=昼休憩、昼寝」の名の通り、圧倒的な座り心地もシエスタの評価されたポイント。
丁寧に仕上げられた牛革のシートの手触りは心地よく優しく身体を包み込みます。
ブナ積層材のフレームは適度なしなりを叶え着座時に吸い込まれるような感覚に。
シエスタはまさに知られざるノルウェーデザインの最高傑作といえます。
シエスタの特長は素材選びにもあります。
レリングはデザイン当初から環境への配慮を重視していたそう。
絶滅が危惧されている木材や皮革は使わず、必要最低限の資源を用いて十分なデザインと強度を叶える。
約半世紀以上も前に作られたシエスタは現在もありのままの姿で使用されています。
シエスタは自然と向き合う、ノルウェーらしくもあり、一つのものを永く大切に使うというデザイン哲学が伝わるレリングの傑作といえます。
現在はノルウェーのエルコヤ―ラ社に引き継がれたシエスタ。
一時はエコーネスが手掛けていたことでも知られていますが、今回紹介させて頂いたのは希少価値の高い“ウェストノーファ Westnofa Furniture”が手掛けたヴィンテージアイテムです。
経年を感じさせるものの使用の際に問題となる様なダメージは無く、シエスタが如何に堅牢な作りがなされているかが伺えます。
ノルウェーで生まれた、最高峰の一脚。
腰かけることでこのデザインの本質を感じて頂けるはず。
北欧デザイン史に残る歴史的名作のご紹介でした。