IDEE
TOU ZA ISU
"籐(ラタン)" で作られたものには、小さい頃から縁があります。
中でも一番お世話になったのは、籐で作られたラグ。
すぐにささくれたり、ぺたんこになってしまうような粗悪な作りの籐ラグも中にはあったりするのですが、
上質な籐家具の魅力を一度知ってしまうと、なかなか手放せないアイテムであることは周知の通りかと思います。
本日はそんな籐の魅力がぐっと詰まった一脚のご紹介です。
本来の "籐" を感じて。
国内を代表するプロダクトブランド "イデー IDEE"が製作したこちらの一脚。
元のデザインは日本を代表する巨匠デザイナー"坂倉準三"による作品。
「TOU ZA ISU」は、そんな坂倉氏のデザインを、日本のデザイン界の重鎮 "長大作" がリデザインする事で生み出されました。
長大作と言えば、"坂倉準三建築研究所"に所属し、世界的巨匠"ル・コルビュジエや、"シャルロット・ペリアン"から大きな影響を受け、実際に自らの作品へと昇華していった数少ない人物の一人。
こちらの椅子を一見すれば派手さはなく、他の籐家具と比べてモダンな印象でありながら、あくまでとても自然な佇まい。
背座には均一な張り具合で仕立てられた籐製のシートが広がっており、なんとなく"座ってみたいな"と思えるような、そんな不思議な魅力を持っている点もこの椅子ならではの特徴です。
何より、"これはいい!"と実際に思わせてくれる、その座り心地の良さ。
座椅子は、基本的に座る為には低い位置に身体を持ってこなくてはならないので、ふっくらしたシートだとなかなか起き上がりにくかったりすると思うのですが、
こちらはシート自体が絶妙な固形を保っているので、例えば両手をシートの両端に乗せてもしっかりと踏ん張ることができ、とても楽に座れて、立ち上がる事ができるのです。
そして"籐"ならではの自然なしなり感も、とても良いですね。
身体を預けた際に身体に対して変に圧力が掛かる場所がなく、クッションを使っていないのにも関わらず、とても優しい座り心地となっています。
フレーム部は上質なプライウッドによってしっかりと組み上げられた構造。
既にこの時点で"人にとって心地よいバランスのフレームワーク"である事が伝わってくるようです。
その上で「100%ラタンで作られた四角いクッションが、チェアの上に置かれている」という表現の方がしっくりと来るデザイン。
元々は"竹かご"のシートだったそうなのですが、"籐"にする事で、より親しみやすい質感の一脚に。
籐の性質をよく活かした、籐本来の質感を思いっきり楽しめる一脚となったのではないかなと、様々な想像をしてみます。
実際にレイアウトに取り入れてみても、モダンな印象に空間映えしてくれるのでインテリアに取り入れやすい点も嬉しいポイント。
ナチュラルな色合いであるので気づきにくいかもしれないのですが、とってもスタイリッシュな表情を魅せてくれます。
和モダンな空間から古民家的空間、北欧モダンにもマッチするので、初めてのロースタイル家具にもお勧めできる一脚です。
是非この機会に、一流デザイナーが手掛けた家具でお部屋を彩ってみては如何でしょうか。