Andreas Tuck
AT33
作品としてのデザインではなく、実用性を共存させた家具としてのデザイン。
見た目の美しさと使い心地の融合を追い求め続けた結果、あるデザイナーは生涯に数多くの名作を手掛けることになります。
ピーコックチェアやYチェア、そしてザ・チェア。
本日紹介させて頂くのは椅子の巨匠が独自の哲学を持って完成させた名プロダクトです。
縫い、編む為の家具
>>この商品の詳細を確認する
デンマークの伝統的な技法と良質な材を用いクオリティの高い名家具を手がけていたアンドレアス・タック。
今回ご紹介させて頂くのは同社が生産に携わったソーイングテーブル、AT33。
ハンス・J・ウェグナーデザインの名作を主に製造していたことでも知られる名工房です。
AT33もまたウェグナーデザインの名プロダクト。
一目でわかる造りの良さとシンプル且つ美しいデザインが素晴らしく、他とは一線を画す気品を強く感じさせる逸品です。
日照時間が短く気候的に寒い季節が長いことでも知られる北欧。
室内で過ごすことが多い北欧の人々にとって暮らしに寄り添う道具は一層特別なものだったそう。
その生活の中でも編み物や裁縫をするという事は室内での時間を充実させる手段だった様です。
ソーイングテーブルというとあまり聞きなれないように感じますが北欧の人々にとって重要な家具だという事がわかります。
家具をよく理解し、生活の道具として常に使いやすさを忘れないデザイナー、ハンス・J・ウェグナー。
芸術作品としての家具ではなく実用性を上手く共存させた家具として完成させる彼のデザインスタイルは今日まで多くの人々を魅了してきました。
このテーブルにもウェグナーデザインの特徴が良く現れています。
藤のバスケットには毛糸を。
細かく分けられた引き出しには糸や針を。
ボビンホルダーも備わっています。
作業スペースを拡張できるバタフライ天板の仕様も非常に魅力的。
他のソーイングテーブルには見られないシンプルながら細かな仕様が裁縫に伴う細かな作業に寄り添ってくれます。
当たり前のように使い心地が伴うデザイン。
それは、彼がデザイナーである前に一流の家具職人であったことも要因の一つです。
使用する材料を知り尽くした上で、材料の特徴を最大限に活かす。
生産が行われる生産工場の技術特性までを把握しており、そのすべてがデザインに反映されていたと言われています。
そして彼はデザインすると同時に緻密な計算をも行っていたそう。
目に見えない角度やスペース、それらの絶妙なバランスこそ彼のデザインの本質なのかもしれません。
究極のデザインは同時に究極のシンプルであると煽るハンス・J・ウェグナー。
彼はデザインに関して力強い言葉をのこしています。
「家具に裏表があってはいけない」
この哲学こそが世界中で今でも愛され続けてきた理由なのかもしれません。
暗く寒い季節をここちよい日々に変える家具。
巨匠の手掛ける温もりある名作のご紹介でした。