ANONIMA CASTELLI
PLIA Chair
風にあおられて大きく揺れる木立ちの中、セミの鳴き声が遠くから聞こえてきます。
今日も今日とて暑いですが、風が吹く分気持ち快く過ごせています。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私はつい2、3日前にまだ巣立っていないツバメの巣を見かけて不思議な気分。
7月前に巣立つツバメもいれば、今頃ゆっくりと過ごしているツバメもいる。
まるで人間みたいだなあとシミジミ感じていました。
夏の盛りも中盤戦。季節を問わず使える家具ですが、今の季節にこそ嬉しいクールなアイテムが今回のご紹介。
宜しければ最後までお付き合いください。
原型かつ傑作
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この椅子を見た時に視線が止まってしまう人、多いのではないでしょうか。
形としては私たちが何かにつけ使う事の多い折畳み椅子ですが、学校や施設等にある「事務用品」というイメージとは似ても似つかずな佇まいです。
それもそのはず。この椅子はそれら折畳み椅子の基になったと呼ばれる1脚。
イタリアのファニチャーメーカー、アノニマ・カステッリ社によって製造されたプリアチェアです。
アノニマ・カステッリ社は1877年、長靴で例えると丁度履き口辺りに該当するイタリアのボローニャに小さな工房として創業しました。
1939年に名称を現在のアノニマ・カステッリと改め、買収などの紆余曲折はありながらも今も製造を続けています。
イタリアデザインの例に漏れず、アノニマ・カステッリ社が大きく飛躍をしたのはモダンファニチャーを手掛けるようになってから。
今回のデザイナーであるジャンカルロ・ピレッティが1960年に入社し、インハウスのデザイナーとして多くの名作を発表するようになります。
今回のプリアチェアの他に日本でも岡村製作所がOEMを担当していた事のあるカステリチェアや、ジンチェアとも通じるフォルムにフカフカのウレタンが魅力的なアルキー、プリアのスツールバージョンとも言えるパフ等。
モダンデザイン黎明期のどこか荘厳なイメージとは異なる、開放的でさっぱりとしたデザインはそのミニマルな魅力と相まって、時代を問わず人気なアイテムたちです。
プリアチェアを見てみましょう。デザインの事は分からなくとも不思議なルールに則って設計された事が感じられる見た目。
フレームは強度のあるスチールフレームが採用されていますが、その内側をなぞるように後ろ脚、座面のフレームが続きます。さながら天球儀のようですね。
折畳みの当然の機能として使わない時には折畳みコンパクトに収納できるのですが、折畳んだ際にもその美しさが変わる事はありません。
全てがフレームの内側に収まり両サイドの一番厚い部分でも5センチと、「原形≒未熟」らしさのない、ある意味可愛げのない(笑)完成度です。
背もたれと座面にはくぼみがつけられ、カドが当たるなんて事も無く、気持ちよくお使い頂けるチェア。メインとしても、来客時のとっておきとしても、1脚でも複数脚でもイヤになる事の無い優れたアイテムです。
実績として700万台以上の販売数を誇り、モダンデザインの殿堂でもあるMoMAにも所蔵されるなど申し分ありません。
程良く過ぎた年月によって、色づいたプラスティックシートは透き通る光も爽やか。
機能性が先立ってしまうためどこか打算的な目で見てしまう折畳み椅子ですが、これであれば必要無くとも使いたくなる。そんな名脚です。
実は久しぶりな入荷となりますので、気になる方はどうぞこの機会にご検討下さいませ。(お買取りのご相談もお待ちしております!)