atelje lyktan
Bumling Pendant Lamp
色々な情報が入手しやすくなった現代。
家具だけにとどまらず、新しく開発される技術やその時の世界情勢と、様々な要因が混ざって出来る流行によって世の中は廻っています。
インテリアといえば北欧諸国と一口にいっても、著名なデザイナーが多いデンマークやフィンランドと比べてちょっと情報が少ない気がするスウェーデン。
ですが、私たちが知らないだけで名品は至るところに存在しているのです。
今回はそんなスウェーデンの照明のご紹介。
宜しければ最後までお付き合い下さい。
知らない事がイイ
>>この商品の詳細を確認する
今回はペンダントライト。
お部屋の中に万遍なく光を巡らして、日々の作業をしやすくするための天井照明。
ただ生活が出来ればいい、という事であればLEDのシーリングライトだけで足りてしまう現代。
あえてそこにペンダントライトを選ぶのであれば、生活を豊かにする「とっかかり」がやはり欲しい所ですよね。
その点でいえば今回の照明はうってつけ。
直径40センチと豊かなサイズに電球は2つ付く2灯タイプ。
そのスタイリッシュなデザインによる存在感と、豊かな光量をともに感じてお使い頂けます。
デザインを手掛けたのはアトリエ リクタンの要職を務めたアンダー・パーソン。
1952年からフィリップスのデザインディレクターを歴任したパーソンは、1964年にアトリエリクタンを買収しそのプロダクトの多くを手掛けています。
このバムリングシリーズが発表されたのは1968年。このシリーズをきっかけにアトリエリクタンはより世界的な評価を得る事になります。
パーソンはスウェーデン語の4つのF(Form(形)、Function(機能)、Colour(色)、Family(家族)※こちらは英語です。)にこだわりを持っていたと述べていますが、その中でも画期的であったのは「色」。
照明のデザインを手掛け始めた時、照明には白や黒、グレーぐらいしか色彩の選択肢がありませんでした。
その時にパーソンの脳裏に浮かんだのは戦前に働いていたラジオセット製造の経験。
テレビよりもまだ主流であったラジオにおいて、色を付けたアイテムは普通のものよりも良く売れた。
その経験がドイツの車見本市でカラフルなフォルクスワーゲンを見た時に結び付きます。
新しい挑戦として幅広く作られたアイテムはレッド、イエロー、ブラウン、オレンジ、そしてグリーンと戦後の活力あふれる人々に喜ばれ、スウェーデンにとどまらず世界中の人々に愛されるアイテムとなりました。
もちろん、色だけで評価されたワケではありません。
北欧照明の金字塔とも言えるルイスポールセンのPH5が発表されたのが1958年。
照明にとって不快の元となるグレア(ちらつき)に関する対策が施されている事をこの照明にも見る事が出来ます。
シェードは2段階のふくらみを持つことでより広範囲に光を届けられるようになっていますが、光が直接目に入りにくいよう、ルーバーと呼ばれるプラスティックのパーツが取り付けられています。
蜘蛛の巣のように広がるプラスティックはその均等な感覚で光源からの直接光を受け止め、より柔らかい光へと変換。直接目に強い光が入らないだけではなく、当時はまだ少なかったプラスティックのメリットを活かしたデザイン。
ストレートなだけでは無機質になりがちですが、シェードの上端はわずかにふくらみ、中程は柔らかく、下端は織り込まれる事でさりげなく異なる表情を楽しめるように考えられています。
ちなみに天辺にはOFF/1灯/2灯を切り替えられる今ではユニークなスイッチが付いています。使いやすさまで、色々と工夫していた事が分かる仕組みです。
名品と呼ばれるアイテムの中には、デザインの純度が高いゆえに機能よりも美しさが先にくるものがあります。
普通の人に出来る事ではないので勿論それも素晴らしく、鑑賞する楽しみはひとしお。
ですが名前を知らなくとも心地よく使えて、気持ちが上がる。そんな照明もまた素敵だなと思うのです。
自分が知らない事が、素直な楽しさになる。まだあまり知られていないからこそとっておきなスウェーデンのペンダントライト。
気負わず使える素敵な照明をお探しの方に。是非取り入れてみて頂きたい1台です。