検証!疑惑の二脚

 

 

ブランド、おもちゃ、アニメ、ゲーム etc. ヒット商品や流行りのアイテムの模倣品、便乗品が出回るというのは世の常です。

 

一口に模倣と言ってもパクリ・オマージュ・パロディ…と様々な場面があり、見極めるにもある程度の能力を求められます。(例えば、マスターズチェアはオマージュの代表例と言えます)

 

家具では「本物」であるかを判断するのに難しジャンルの一つとしてビンテージ・アンティーク物があります。家具様式、メーカー・デザイナーの歴史、素材等々の様々な知識と経験が求められ、imptionスタッフの腕の見せ所の一つでもあります。

 

正規のビンテージ品と入荷したにも関わらず、諸々の判断の結果その名前を出さずに販売するケースも多々あります。今回はオリジナルとの比較を通してそんな疑惑の二脚をご紹介いたします。

 

 

 

 

ビンテージ プライウッドチェア

 

 

 

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かつてJ.Merivaara社から公共施設向けに販売されていたとされる“Ulla chair”。北欧のデザイナー Olof Kettunenによってデザインされ、成形合板による湾曲した楕円の背座と背に開けられた孔が特長的です。

 

ダイニングチェアをはじめとし、スツール、ラウンジチェアと前述のデザインアイコンを踏襲しつつ様々なバリエーションのモデルが販売されていたようです。現在ではコレクターアイテムとして海外オークションなどでは日本円にして約40万円相当で取引されている個体もあります。

 

こちらのプライウッドチェアも当初はUlla chairと目されていましたが、議論の末にいくつかの理由で同定するに至らず、名前を伏せてでの出品となりました。

 

 

 

他の個体の写真を比較してみると、当店のものは他に比べて背座の湾曲が浅いということが分かりました。これが一つ目の理由。

 

言われてみると確かに…程度の差ではありますが、こういった僅かな差が正規品とそれ以外を見分けるポイントであったり、モデルイヤーを識別する方法だったりします。

 

 

 

もう一つの理由はフレームの角度。オリジナルは座面を支えるフレームを横から見ると後ろに傾斜しているのですが、こちらはやや前のめり気味になっているのが分かります。

 

オリジナルの仕様ではシート高を43cmとしているサイトが多い中、こちらの個体は40cmとかなり低くなっています。もしかしたら脚をカットしているのかもしれません。

 

 

 

そして最大の理由、ロゴシール・刻印がないこと。結局それかい!と思われるかもしれませんが、やはりこれが一番大事です。みなさんもこういったシールや刻印が消えないように大切に扱ってください。

 

スクールチェアのような見た目でありながらも、シートの湾曲やショックマウントによって快適な座り心地。背もたれの孔に手を通して持ち運びがしやすくなっています。

 

 

 

 

 

 

 

フランスビンテージ スポークバックチェア

 

 

 

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こちらのフランスビンテージのスポークバックチェア、見るからに“ファネットチェア Fanett chair” にそっくりな一脚です。

 

ファネットチェアと言えば、北欧フィンランドの名デザイナー “イルマリ・タピオヴァーラ Ilmari Tapiovarra”の代表作的な椅子の一つ。オリジナルはスウェーデン”Edsby Verken”社もしくはフィンランド”ASKO”社が製造していました。

 

本家ファネットチェアでも人気なタピオヴァーラ的な配色がキュートです。こちらも当初はファネットチェアの触れ込みで入荷しておりましたが…大きく二つの理由によってファネットチェアの名を伏せて販売するに至りました。

 

 

 

上)フランスビンテージ スポークバックチェア 下)ファネットチェア

 

一つ目の理由は既にお気付きの方もいらっしゃるかも知れません。背もたれのスポークの本数が違います。通常ファネットチェアは「 T55 」と呼ばれる6本の物が多く見られますが、こちらのスポークバックチェアは7本。

 

実際には1960年代にEdsby Verkenから「T65」型として7本タイプのファネットチェアも販売されていたそうですが、座面裏のラベルからおそらくフランス製造であると思われ、謎は深まるばかり。海外サイトでは「フランス製造期のファネットチェア」と紹介しているショップもあるようです。

 

そして、座面裏に二つ目の理由が潜んでいます。

 

 

 

 

上)フランスビンテージ スポークバックチェア 中)ファネットチェア 下)フランスビンテージ スポークバックチェア ラベルの拡大

 

脚の付け根、座面の脚受けにあたる部分の形状が異なるのが写真を見ると分かります。オリジナルは T55 も T65 も前後で受けが分かれていますが、こちらのスポークバックチェアは蹄鉄型(デザイン的にはかっこいいですね)となっており、以上の点を踏まえてファネットチェアとして扱わず販売を致しております。

 

 

 

 

とはいえこのスポークバックチェアも17世紀後半のイギリスから始まるウィンザーチェアの系譜に連なるデザインであることは間違いないでしょう。

 

広々とした座面とスポークの包み込むような座り心地はウィンザーチェア独特のそれです。繊細さが同居したシルエットは、一脚だけ置いてあっても画になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

 

いずれも最後の決め手が足りず、正規品として扱わなかったものになります。そうは言っても、元のデザインが秀逸であることと、歴史を感じさせるビンテージものとして価値がある言えます。

 

こういった椅子に出会えるのもこのお店での楽しみのひとつです。今回ご紹介した椅子に限らず、掘り出し物はまだまだ当店にございます。皆様もぜひ遊びに来て探してみて下さい。

 

真相は藪の中。信じるか信じないかは貴方次第。もしかしたら、本当に掘り出し物なのかもしれません。

 

 

 

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