Herman Miller
Time Life chair

 

 

 

ここ数日、花粉症を巷に振りまいていった強い風が落ち着き、今日は静かな寒さが残る冬の終わり際。

 

もう少ししたら今年もお世話になった分厚いウールが役目を終え、軽やかさが印象的な春の色に変わってゆくのでしょう。

 

気が付けば暦も3月を迎え、新年度を見据えた動きもちらほら。素敵な大人なら、そんな瞬間でも慌てる事なく堂々と構えていたいもの。

 

そんな大人のステータスを表すものとしても、自分へのご褒美としても、時代を代表するデザインを楽しむものとしても。いずれも外れる事のないマスターピースが入荷致しましたので、今回ご紹介させて頂きます。

 

少しボリューミーではありますが、最後までお付き合い頂けますと幸いです。

 

 

革新し続ける、時代の端緒

 

 

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デザインを手掛けたのはチャールズ、そしてレイのイームズ夫妻。

 

アメリカを代表するだけではなく、プロダクトデザインからテキスタイル、映像作品に至るまでの多岐に渡り、ミッドセンチュリーと言われるデザインの黄金期を作り上げたデザイナー。

 

その足跡の多くを共にした、ハーマンミラー | Herman Millerによって手掛けられたビンテージの1脚です。

 

 

 

 

 

 

イームズ夫妻に関してはそのいずれもが優れたデザインプロダクトとして高い人気を誇っています。

 

戦時中、骨折した兵士に使用する添え木のために培われた、プライウッド(成形合板)技術を応用したLCW・DCW。

 

同じく戦闘機で用いられるレーダー用機器を保護し、空気抵抗を減らすために使われたFRP(繊維強化プラスティック)を応用したシェルチェア。

 

 

 

 

 

新しく進んでゆく技術に挑戦し、取り入れる事で問題を解決する。

 

新しい解決のかたちはそのアイテムに人々が期待する「必要性」に真に適ったものだったのでしょう。

 

 

チャールズはパリ装飾美術館で受けたインタビューにおいて、デザインとは短命なものなのか、恒久なものか、どうあるべきかという問いを受けています。

 

それに対して「デザインと必要性に高い質が備わっていれば、より恒久性に近づくでしょう」と答えた事に、自分自身が行うデザインという行為への深い洞察が感じられます。

 

 

 

 

 

世界大戦の終結から10年以上が経過し、復興という位置づけを超えて新しい暮らしを切り開いていった1960年代。

 

今回のチェアはアメリカを代表する財閥ロックフェラーがニューヨークのど真ん中に建設した摩天楼群 ロックフェラー・センターの一つ、タイム・ライフビルにおけるインテリアとしてデザインされたものがベースになっています。

 

(※ちなみにこの建築物は現在日本の企業が所有しており、改修を受け名称は1271 Avenue of the Americasと変わっているもののまだ健在。もしご旅行の際はお立ち寄ってみてはいかがでしょうか。)

 

 

 

 

 

 

タイム・ライフという名前の通り、アメリカを代表する雑誌「TIME」そして「LIFE」をはじめとするマスメディアを発行する巨大企業が本社としていた建物。

 

1960年、そのロビーにおいて来賓を迎え歓待するに相応しいタイムライフロビー「ラウンジ」アームチェアとして、格式と快適性を約束する究極のデザイナーズプロダクトが作られました。

 

今回はそのラウンジチェアをより使いやすくデスクチェアとしてアレンジし、1961年に発売されたモデルとなります。

 

 

 

 

 

 

このチェアの根幹を担ったのが、アルミニウムによるフレーム。ダイキャストと呼ばれる鋳造技術が進歩する事によって成し遂げられた形。

 

金属が持つ強度はそのままに、アイアンやスチールと比べて軽量、そして独特の光沢感を持つ金属を使用する事で可能となったのです。

 

 

そのヒントは1958年に発表されたアルミナムグループ。そのシリーズ名の通りアルミニウムを主材としている点も共通していますが、もう一つの共通点として挙げられるのは「挟み込んでいる事」。

 

このアルミナムグループはエーロ・サーリネンが設計する邸宅に相応しい屋外用チェアとして、インテリア担当のアレクサンダー・ジラルドから依頼されたものですが、耐候性が強いメッシュシートを両側から挟む事でハンモックのようなテンション感のある座り心地を確保しています。

 

 

 

 

 

 

今回のタイム・ライフチェアもパッと見は分からないのですが、贅沢にレザーでくるんだブロック状のシート3つをアルミフレームで挟み込んでいる造り。

 

さらにはシートの底には軽くて丈夫なプライウッド。そう、イームズ夫妻が腐心して家具に応用した素材はここでも使われていたのです。

 

清掃のために外したネジすら、質量感からその剛性までしっかりとしたもの。当時の「世界最高」が求めた品質だったのだと強く実感する事が出来ます。

 

 

 

 

 

 

アルミニウムによるアイテムはその後も続き、タイムライフチェアで初めて採用されたユニバーサルベースはキャスターの有無どちらにも対応できる脚部としてアルミナムグループも含めたデファクトスタンダードになっています。

 

そして同時期に作られたウォールナット無垢材によるスツールも、まるでチェスの駒のように印象的な1脚として愛されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詳しい方なら、「チェス」という言葉にピンときた方もいらっしゃるかもしれません。

 

このタイムライフチェアには有名なエピソードが一つ。時は過ぎ、1972年にチェスの世界大会決勝が北欧アイスランドの首都レイキャビクで行われようとしていた時の話。

 

当時は冷戦の真っただ中。当時発達著しいコンピューターとそれに負けない人の知性を表す結晶、チェスの世界大会は国力を表すものとして高い注目を浴びていました。

 

アメリカ代表のボビー・フィッシャーは、チェスに集中するため使用する椅子にタイムライフチェアを要求。そして大戦相手のソビエト代表ボリス・スパスキーもそれを受けて同じ要求を行いました。

 

 

 

 

 

アメリカの代表が選んだ、アメリカを代表する1脚。わざわざアイスランドまで輸送したという事実にも重ねて、対戦相手もその座り心地にさぞ驚いた事でしょう。

 

そうして注目を浴びたタイムライフチェアは要求主を勝利へと導き、英雄を生んだ1脚として認知されるに至ったのです。

 

 

 

 

 

 

その座り心地は、体重を忘れさせるような感触。

 

張りのあるレザーはボタンの縫い込みを利用する事で左右の端にボリュームを持たせており、逆にそこから離れた中央部分は柔らかな感触です。

 

座り始めはキープされているボリュームに触れる事でレザーらしい身体の受け止めを感じる事が出来ますが、そのあとには中央部の感触が続く事で体重を分散する仕組み。

 

 

 

 

 

 

9センチと厚みのあるクッションの底には型崩れを防いでくれるプライウッドがあるためレザーの伸びきりを防ぎ、快い間隔が長続きするよう図られています。

 

背もたれ2つのクッションは角度を変えて据え付けられており、背筋を伸ばした時でもリクライニングをした時でも心地よくフィット。

 

少しずつ体温が移るレザーの魅力もあり、座っている事を忘れられる印象へと導いてくれます。

 

 

 

 

 

インプションでは、おかげさまでイームズのアイテムを始め多くのデザイナーズプロダクトに触れる機会が増えておりますが、やはり至高のアイテムになると目にする機会は少なくなり、また手に出来る方も限られます。

 

品質を保つために少しずつ価格は上がり、現在定価は約85万円。この椅子を楽しめるという事は、これ以上ない自分への評価として映るのではないでしょうか。

 

1960年代の始まりを彩ったのは、多くの「必要性」を持ち、それに伴う問題を解決した質の高い「デザイン」。

 

恒久性、言い換えるならばタイムレスな価値を持った1脚である事に間違いはありません。

 

貴重な1脚。是非この機会にご検討下さいませ、

 

 

 

 

 

 

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