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ハーマンミラー Herman Miller アルミナムグループ マネジメントチェア デスクチェア ホップサック ジラルド生地 ファブリック 5本脚 キャスター付き イームズ ミッドセンチュリー ~使う彫刻~
Herman Miller
Aluminum Group Management Chair
家具というのは不思議なものです、
実際に使用し、生活を豊かにするという機能が先立つものであるにも関わらず、人は家具に美しさを求め続けています。
ただそんな営みの中でも、使い心地に繋がる機能が導きだす美しさは、鑑賞する芸術作品とは異なる親しみを私たちに与えてくれます。
今回の1脚も、そんな素敵な家具です。
彫刻のようなダイキャスト、プリミティブな赤
今回はアメリカのモダンデザインを代表するファニチャーブランド、ハーマンミラー社による1脚。
カテゴリーとしてはオフィスチェアとなりますが、私たちが通常イメージするものとは一線を画した完成度です。
デザインを手掛けたのはチャールズ、そしてレイのイームズ夫妻。
インテリアデザインというものにあまり興味がない人でも、イームズという名前をご存知の方は多いです。
それだけ私たちの実生活に影響を与えている。アメリカだけではなく世界中を見回しても並ぶ人が少ない歴史的なデザイナーです。
主に二人が活躍したのはミッドセンチュリーと呼ばれる、戦後の復興から大きく世界が羽ばたいていた時期。
戦争中は漏洩がもってのほかだった最先端技術も、戦争が終わった事で平和的な利用が多く模索されるようになります。
そんな新しい技術、新しい需要を彼らのフィルターを通して出来上がったアイテムは、世界中を驚かせました。
軽く、強靭であったプライウッド(成型合板)は、骨折した兵士のための添え木から、包み込むような抜群の座り心地を持つ椅子へと姿を変えました。
プラスティックをガラス繊維で強化したFRPという素材は、戦闘機の先端を覆うレーダードームから、シートが一体で作られた近未来の始まりのような椅子へと変わりました。
苦節は様々にありましたが、それを乗り越えて、何より強い好奇心を発揮して作られたアイテムは今も多くの人々に愛されています。
その二人によるチェアのひとつ。ドラマやCMでオフィスのシーンがあるとかなりの確率で出てきています。宜しければ一度チェックしてみて下さい。
名前はマネジメントチェア。ハイバックタイプになるとエグゼクティブに名前が変わります。分かりやすくて面白いですね。
1958年に発表されたこの椅子はアルミナムというグループ。響きの通り、アルミニウムをテーマとしたグループです。
今でこそ様々なシーンで使われていますが、もともとは屋外での使用を前提としてデザインされた1脚。
インテリアであればチューリップチェアなどで人気のエーロ・サーリネン。
とある建築を手掛けた際に、イームズ夫妻に依頼したのが先述の屋外用チェア。
それに対してどのような答えを出したのでしょうか。
スチールやステンレスと比べて軽量で、柔らかな光沢は高級感のあるアルミニウム。これに組み合わせたのは合成繊維であるメッシュ素材。
座り心地を考える上では欠かせないクッション材。当時はクッションを布や革でくるんだものがまだ主流だったので、屋外での使用は厳しい状況でした。
通気性が良く、雨風でも状態が変化しにくい合成繊維のシート。そしてフレームの両端で挟み込むようにして生まれるテンションは身体にフィットする快適な座り心地。
驚く事に、テンションを掛けても曲がりにくいダイキャスト(鋳造)アルミを家具に取り入れたことで、この椅子には「シェル」と呼ばれる強度のためのシートフレームがありません。
「屋外使用」「快適な使い心地」という問題を「ダイキャスト技術」によって解決しただけではなく、エーロ・サーリネンの高い審美眼を納得させる美しさを持った椅子。
これは納得を通り越して唸ってしまうレベルの事態ですね。素直に脱帽するしかありません(笑)
他にもシートの角度を調節するグリップですら、円よりも握りやすい楕円形にするなど、すべてに気を配ったディティール。
中心の軸を回転させるアナログ昇降ではありますがシートの高さを調整する機能も付き、パーソナライズをしてお使い頂けます。
今回はハーマンミラー社のもとで時代を共にしたデザイナー、アレクサンダー・ジラルド(ジラード)によるホップサック生地。
どこか中南米のようなネオン味を感じるレッドは、目にするたびにエネルギーをくれるような華やかな色。
技術は過去のものになっても、その新鮮な驚きは時代を越えゆるぎのない魅力となったマスターピース。
歴史が証明した名脚を、是非この機会に取り入れてみて下さい。
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