Herman Miller
Arm Shell Chair

ミッドセンチュリーの代表格として、半世紀たった今でもその人気が衰えることのない不朽の名作”シェルチェア”

当時開発されたばかりのFRP（ガラス繊維強化プラスチック）を使うことで、自由な曲面を製作することができるようになり、それまで一般的だった木製のチェアに比べて座り心地が格段に向上しました。さらに、高い耐久性と量産性を兼ね備えたことも相まって、発売から瞬く間に有名になり、世界中から支持される名作椅子として成長していきました。

半世紀たった今でもその高いデザイン性からメディアなどの露出も多く、根強いファンが多くいるイームズの名作としてその名を世界に轟かせています。

そんなシェルチェアの希少な1stヴィンテージモデルが入荷致しましたので、悦び勇みご紹介させて頂きたく思います。

ミッドセンチュリーに思いを馳せて。

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20世紀のちょうど中間1950年代頃付近。”ミッドセンチュリー”と今は呼ばれるこの時代。

第二次世界大戦が終了し、様々な技術革新と大量生産を背景に、新しい時代への夢と希望に満ちた様々な素敵なデザインが生まれました。

今まで技術的な問題で単調な直線を基調とした作品が多かった中、技術革新とともに緩やかな曲線やポップなカラーなども取り入れやすくなったことも相俟ってデザインの幅が広がり、様々なデザイナーがこぞっていまだ生み出されたことのない開放感あふれる作品を世に多く輩出していきました。

そんな活気ある時代の最先端を走っていたのがアメリカのHerman Miller社。

なかでもハーマンミラー社の代表作『シェルチェア』は半世紀経過した現代でもその輝きを失わないばかりか、更に世界的に評価され名作椅子としてその名を馳せておりますね。

そんな時代に画期的な発明としてこの世に生み出されたのがこのFRPという素材。

ミッドセンチュリーという時代の先駆けはこの素材”FRP　（繊維強化プラスチック）”の開発から始まったのかも知れません。

プラスチックは軽量で、加工が容易であるが、弾性率が低く、構造用材料としては適していない。そこで、ガラス繊維のように弾性率の高い材料と複合すれば、軽量で強度の高い、つまり比強度の大きな材料として用いることができる。

そんな開発経緯を経て生まれたのがこのFRP。

このFRPを用いることにより家具の分野でも様々なデザインやカラーを取り入れることができるようになりました。

そんなFRPに最初に着目したのは何を隠そうミッドセンチュリーを代表するデザイナーの一人”チャールズ＆レイ・イームズ”です。

最初のプラステック製の椅子として生まれたこのシェルチェアは発表からすぐまたたく間に人気となり、今ではミッドセンチュリーのアイコン的存在まで成長しております。

その魅力のひとつは緩やかな美しい曲線の背座一体のフォルム。

眺める角度によって様々な表情を楽しめることだけではなく、座った時に身体のラインに沿ってゆっくりと包み込み、想像以上に柔らかく快適な座り心地を実現してくれる点も世界的に評価されてきた理由のひとつですね。

現代ではプラスチック技術が進み、リサイクルできないFRP素材より、製造やリサイクルが容易なプラスチックが主流となり、現代に製造されているシェルチェアはほとんどの個体がプラステック製となっております。

ですがやはりFRP製のシェルが魅せる艶感と風合いはプラスチック製のそれとは一線を画す存在感を放ち、全く別の作品なのではないかと錯覚させるほどです。

そんな背景もあり、ビンテージ好きやイームズファンからは根強い人気を誇るビンテージモデル特有のFRPの個体は年々希少性を増し、価格が上昇してしまっている所以となっております。

もっと踏み込んだお話をしますと、ビンテージのシェルの中でも年代に応じてファイバーの量や特性がそれぞれ違い、年代に応じて1st（1953～1955年）、2nd（1955～1970年）、3rd（1970～1990年代頃）という名称で呼ばれております。

時代をさかのぼる毎にプラスチックの中に混ぜるガラス繊維の量が多く、見た目や質感もあきらかに違います。現代で主に市場にでまわっているビンテージシェルは1955年～1970年代頃の２ndビンテージがほとんどですね。

ですが驚くべきことに今回入荷したシェルは1953年から1955年の僅か２年間の間にしか製造されていない極希少の1stビンテージのものでした。

ファイバーの量が異常に多く、ただならぬ存在感を放つその個体は、歴史を確かに刻んできた、そんな風合いを纏う息を飲む佇まい。

15年近くこの業界にいる私も1stモデルのロープウェッジモデルをこの手で取り扱うのは今回はじめてとなり、幸甚の至りでございます。

半世紀前の過去ながら希望に満ちた「未来」さえも感じさせるミッドセンチュリースタイルは、現代においても高く評価されており今のデザイン史にも多大な影響を与え続けております。

是非そんな時代背景にも思いを馳せながらミッドセンチュリーを代表する名作椅子で休日のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。