WINDMILL
Isokon Chaise Longue

 

 

贅沢な時間。それはただお金を掛ければ手に入るというものではありません。

安いものであっても、必要な点を抑えたものであればそこに充分という満足が生まれ、お金を掛けた甲斐のある嬉しさを感じることが出来るのです。

 

ですが、それをもってしてもその前提のハードルが高かった場合。

作る事が技術的に難しかったり、需要としてそもそも少ないものであったり。

モノであればそれを製造する側の熱意は少なくないコストとなってアイテムに反映されます。

 

値段が上がればそれは正直買う側でもハードルが高くなるものですが、それゆえ乗り越えて得る満足はひとしお。

その形から、歴史まで。名デザイナーが考え尽くした一つの答え。

是非その一端を一緒に感じて頂きたいと思います。

 

 

 

取捨と選択

 

 

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今回はインテリアに留まらない歴史的デザイナーによる特別な椅子。

 

マルセル・ブロイヤーが手掛けた、アイソコンのシェーズロングです。

 

 

 

 

マルセル・ブロイヤー(1902-1981)はハンガリー出身、ユダヤ系の建築家・デザイナー。

 

モダニズムデザインを語る上では欠かせないバウハウスの主要なメンバーであり、戦中ナチスの圧力を受けバウハウスが閉校となった後でも、残した足跡は高く評価されています。

 

インテリアに於いて一番有名なのはやはりワシリーチェアでしょうか。

 

俗に鋼管椅子とも呼ばれるこの椅子の先駆けでもあるワシリーチェアは、その名を持つ美術家、ワシリー・カンディンスキーが賞賛した事で日の目を浴びた1脚。

 

 

 

 

 

クラブチェアと呼ばれる快適性の高い古典的なアームチェア。

 

この完成された椅子から、スチールパイプを用いる事で要素を減らし「面」と「線」で構成したこのフォルムは、モダンファニチャーとしてのアイコンになっています。

 

この時ブロイヤーはバウハウスで学んだ後、ユングマイスターと云う若き指導者として採用されたばかり。

 

いかにバウハウスという教育と、本人の資質が優れていたのかが分かりますね。

 

 

 

 

 

 

その後はヒトラーによるユダヤ人迫害の影響を受け、イギリスへ、そして後年にはアメリカへ渡り世界的な活躍をしたブロイヤー。

 

建築物としてはピエール・ルイージ・ネルヴィ、ベルナール・ゼルフェスと共同で設計したユネスコの本部ビルや、ニューヨークのマディソンアベニューに面した旧ホイットニー美術館等が挙がります。

 

共通するのはコンクリートという強固な素材を採用する事で可能になった、重力に逆らうような緊張感のある美しさ。

 

ユネスコ本部ビルはピロティが、そして旧ホイットニー美術館は上階になるにつれ張り出してくる逆階段のようなファサードが印象的。

 

また個人的にはフランスのラ・ゴードに建設されたIBMのリサーチセンターがお勧め。どれだけコンクリートが好きなんだと思うくらいにふんだんに使用されており、端整な居住部の下にある橋脚、そして全体バランスはカッコイイの一言です。

 

 

 

 

 

話は戻って、ブロイヤーがイギリスにいた1936年頃にデザインされたのが今回のアイソコン。

 

渡英して知り合ったアイソコンファニチャーのオーナー、ジャック・プリチャードの勧めを受け出来上がったのはシェーズロングという寝椅子の一種です。

 

寝椅子自体は、バウハウスのイメージらしいアルミニウムによるものが1932年に発表されています。

 

ブロイヤー本人が同時期に活躍していたアルヴァ・アアルトによるプライウッドのデザインに興味を持っていた事、親交がありアイソコンのデザイン責任者も務めたウォルター・グロピウスからの勧めもあり、ブロイヤーは新しい「合板家具」への一歩を踏み出したのです。

 

 

 

 

 

今回の製造メーカーであるウインドミル社のオーナー、クリス・マッコートはデザインに造詣が深く、1981年にプリチャード氏からアーカイブとしての製造を依頼されます。

 

後には製造ライセンスを購入し、現社名であるアイソコン・プラスと名を変え、ロンドンを中心に活躍するデザイナーデュオ エドワード・バーバー&ジェイ・オズガビーと多くのアイテムを発表。

 

ジャスパー・モリソンや日本からは安積夫妻らのアイテムを発表のほか、ウォルター・グロピウス、アーネスト・レース、エゴン・リス等の歴史的なピースを忠実に復刻するその実力は確か。

 

日本で耳にする事は少ないですが、正統な系譜を継ぐメーカーが製造した1台なのです。

 

 

 

 

 

 

 

特徴的なのはやはりそのフレーミング。

 

ベニアと呼ばれる薄くスライスした板を、複数枚重ねて接着することで生まれるプライウッド(成形合板)。

 

同じものを無垢材でつくるよりも軽量で強靭。木の組織も薄くスライスされるために曲げの加工も比較的しやすく、そして立体的な造形がしやすいメリットがあります。

 

一筆書きのようなフレームは、アームから足先まですべて繋がっているだから驚きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブロイヤーが重要視していたのはヒトの体重を分散させる事。緻密に描かれたカーブによって、頭、肩、腰、太もも、ふくらはぎと5カ所に体重を分散します。

 

ベッドに横になる際でも背中や脚全体をピタッと床面にくっつける人はいないと思います。

 

僅かに出っ張った肩や腰に集中する体重を、骨格に合わせて均等に分割した座り心地はまさに吸い付くよう。

 

確認の為に座った時には、起き上がるのがちょっともったいないと身体が訴えていたような気がしました(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、よく見るとシートの腰回りは横から挟まれているだけで上下で固定されていません。

 

左右前後身じろぎした時にはプライウッドのフレームが体に追随するようにしなり、普段であれば伸びをして心許なくなるような気持ちがしないという不思議な感触です。

 

軽くて強靭、そしてバネのように「しなる」特性をアイデアとして取り入れた意欲的な作品なのだと改めて感じる事が出来ました。

 

 

 

 

 

同じシェーズロングでも、アイソコンにはアームが付いているので立ち座りもしやすく、イームズ夫妻デザインのシェーズロングのように横から転げ落ちる心配はありません(笑)

 

サイズもそれなりに大きく、お部屋に置く事自体が特別になる椅子。ですがこの椅子に掛けて読書や映画鑑賞など寛ぎの時間が持てる方は幸せだと思います。

 

 

 

 

 

望まない迫害によって止む無く渡ったイギリスで、気を落とすことなく新しい出会いによって生まれた名作。

 

その気骨と、考え尽くして生まれた高い安楽性を楽しめるアイソコン シェーズロング。

 

その価値を、是非ご自宅でお楽しみ下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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