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アルテミデ Artemide カドモ Cadmo フロアランプ カリム・ラシッド Karim Rashid 参考価格約35万円 ヤマギワ取扱い イタリア ~今手に入る、近未来の光~
Artemide
Cadmo FLOOR LAMP
先日、知り合いの新居にお邪魔する機会がありました。
人が暮らす家よりも、田畑や木々、山のほうが多く目に入る自然豊かな地域。
その分見掛ける人々の雰囲気も心なしか柔らかく、喜怒哀楽で言うなら“楽”のような自然体の方が多かったような気がします。良い場所でした。お部屋も高さを活かした広がりのあるもので、お部屋の中に残る鳥のさえずりや虫の声の静かな響きが、普段の喧騒に疲れた五感を癒してくれたような気がします。
秋は見どころが多くありますが、個人的には断然「読書の秋」。良くも悪くも元気いっぱいだったセミがすずむしやコオロギに取って代わり、暑さや高い湿度に悩まされることが無くなる季節。
読みたかった本の世界に飛び込むなら正に今。
今回のご紹介はそんな静けさの魅力を引き立ててくれる、素敵な照明です。
官能とミニマルは一つの形となるか
今回はフロアライトのご紹介。
色々な照明がある中で、お部屋の雰囲気づくりを考える上では欠かす事の出来ないのがフロアライト。
目線に良く入り、実用として必要な光を確保するペンダントライトは豊かなデザインのあるカテゴリーですが、取り付けられる電源の箇所が天井に決まっているため自由な使い方には向きません。
デスクライトも同様に、自分の作業スペースに置く相棒的な立ち位置ですが、デスクに置くというサイズ的な制約のため、お部屋全体の雰囲気を左右する程ではありませんね。
それに対してフロアライト。それなりに大きさは必要となりますが、コーナー部からソファサイド、果ては間接照明として様々なシーンに対応する機能的なものが多く、大体のものがコードで電源を取っているため置く場所を選ばないというメリットがあります。
(※画像のPH5は既に売約済みとなります。)
そして大きさのメリットであるダイナミックなデザイン。豊かな光量に対応しているものが多いのでさながら光の彫刻をお部屋に置いたよう。雰囲気をより一段引き上げてくれるリッチなアイテムです。
手掛けたのはイタリアのライティングブランド、アルテミデ。1960年にエルネスト・ジスモンディによってミラノに設立されました。
カスティリオーニ兄弟やエリオ・マルティネリ、ジョエ・コロンボ等、当時のイタリアは実力者揃い。後にイタリアデザインの代表ともいえるポストモダンへと続くにぎやかな時代を生き抜いた、実力派メーカーです。
デザインを手掛けたのはカリム・ラシッド。偶然ですが生まれも1960年とアルテミデと同い年です。エジプト人の美術家である父とイギリス人の母を両親に持ち、カナダで幼少期を過ごした氏のデザインはどこかボーダーレス。
インテリアで言うとイデーからシュルームスツールをはじめとしたコレクション、マジスからアロチェア、オッフィのスクールチェア等新しい素材や製造技術を持つ企業と多くのキャリアを重ねています。
先進国は勿論新興国での活躍も多いため日本ではそれほど名前を見かける事は多くありませんがその実力に疑いは無く、カラーリングから造形まで見飽きることのないアイコニックなデザインは現代のスペースデザインともいえるユニークなもの。
それは今回のライトでも充分に感じる事が出来ます。
シリーズ名はカドモ。ラテン語等ではカドミウムを意味する言葉のようですが詳細は不明。パッと見は照明と分からないくらいの風体ですが、それでも鋼板を綺麗に曲げたシェードは美しく思わず触れてみたくなる曲線を描いています。
中央に空いたスリットから覗き込むと、三角錐をひっくり返したような反射板が据え付けられています。シェードの直線とうって代わってこちらは鋭い直線が印象的。
これが光によってどのように変わるのでしょうか。
光源は2種類。まずは三角錐の下方にはレフランプ。
シェードは上下中心に向けて絞られていて、足元では小広場のような空間に光が溜まるようになっています。
家の窓から漏れる光やバス停を照らす街灯の明かりが暗い帰り道で安心を感じるように、その光が特別に感じられる工夫です。
そして天面にはハロゲンライト。ライト自体はフットスイッチでオンオフが可能になっていますが、こちらはスライド式で光量が調節出来るようになっています。
レフランプと同程度に合わせても良し、アッパーライトらしく天井の広さを感じるも良し、暗い方がお好みであればオフにする、なんて使い方も可能です。
直線に曲線のコントラスト、隙間から漏れる光の心象を利用したデザイン、そして全体として近未来な印象を感じさせるフォルム。
構造はそれほど複雑でないのに関わらず、くびれのような曲面とモードな図形が照明と結び付くことで、他にはないライティングに仕上がっています。
前後が決まっているライトですが後ろ姿も素敵。あえてお部屋の角に向けて間接照明として使いたくなるような、良い意味で八方美人な1台。
単なる光の道具以上の価値をお求めの方にも十分応えてくれるフロアライトです。
プロダクトデザインの中で権威あるiF賞やレッドドット等も受賞している、知られていない「だけ」のすごいライト。
サブタイトルにもあった「官能とミニマルは一つの形となるか」。という問いかけの答え。
ここまでお読み頂いた方なら、もうお分かりかも知れませんね。
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