フューチャリスト達が生んだデザインウォッチ

 

 

Expo’70の時には既に生を受けておりましたおっさんがデザインという言葉を強く意識させられ、後に影響を受けまくったデザイナーが3人います。

 

ジョルジェット・ジウジアーロ シド・ミード ルイジ・コラーニ

 

この3人の中で一番早く知ったのは僕が高校生の時、吉祥寺のキムラヤで見たセイコー・デジタルウォッチ(A828)をデザインしたジウジアーロでした。
その頃流行っていたホンダの250ccレーサーレプリカバイクに乗っていたのですが、その時計はデジタル画面が20度右に傾斜しておりハンドルを持った姿勢で視認性の向上が図られたアイデアとストップウォッチやアラーム、タイマー、タキメーターなどの多機能っぷりがすごくカッコよく見えて、欲しくて欲しくてたまらなかったのを思い出します。とはいえ高校生の身分で当時¥30,000という値段は到底無理な買い物なので吉祥寺に行くたびに見てはいましたが買えませんでした。
その後はチョロQによってルイジコラーニを知り、ブレードランナーやTRONといった映画(鑑賞したのは公開年では無く後のレンタルビデオ)でシドミードを知っていくことに。
また80年代後半辺りだったと思いますが、カースタイリングという雑誌の別冊で上記3人のムック本がそれぞれ発売され、彼らがどういったデザインをしてきたのかを知ることが出来ました。
そのどれもが新鮮で、未来的なフォルムのプロダクトを数多生み出し、またその人らしいデザインのベースのようなものがあることを知れてどんどん傾倒していったのです。

 

今回はその3人それぞれの腕時計が奇跡的に揃いましたので是非とも一緒に紹介したく、おじさんのわがままでこのブログを書かせていただいています。

 

それでは大阪万博世代を虜にしてやまない、フューチャリスト達がデザインした腕時計をどうぞ。

 

 

 

セイコー スピードマスター デジタルライダース A828-4020 シルバー 1983年発売
Design : Giorgetto Giugiaro / ジョルジェット・ジウジアーロ

 

まずは冒頭でもご説明したデジタルライダース
正面から見た際に液晶表示がちょっと右に傾いてますね!
3枚目画像のようにハンドルを握った角度になると表示が見やすくなるように考えられています。
さらにリングベゼルを回していくことでモードが切り替わる仕様
ベゼルを右に回していく毎にタイム表示からアラーム・ストップウォッチ・タイマー・タキメーター0.2km・タキメーター0.4km・タキメーター1.0km・
タキメーター6.0km・タキメーター10.0km・タキメーター50.0km・タキメーター100.0km・タキメーター***km(任意の距離を入力可能)
と12ものモード切替が可能です。
またベゼルに黒い突起パーツが2個付いているのはグローブをはめた手でもモード切替がしやすいようになっているようです。
ケース外側にあるボタンは左が修正とナイトライト、右がストップウォッチのスタート/ストップなどに使用します。

 

この時計は発売当時カラーがシルバー、ブラック、カーキの3色展開でしたがシルバーはすぐに姿を消し、ブラックとカーキの2色展開となったため
今ではシルバーが一番希少なレアカラーとなっています。
この個体は傷などあるものの30年以上が経過した現在も元気に稼働しています。
よくあるボタンの紛失もありませんし、オリジナルブレスも残った貴重な1本かと思います。
1983年製

 

 

 

 

セイコー スピードマスター オフセットモデル 7A28-6000 1983年発売
Design : Giorgetto Giugiaro / ジョルジェット・ジウジアーロ

 

 

ブラック&レッドの配色が目を引くこちらも上のデジタル同様、1983年に発売された通称オフセットモデル。
偏芯モデルや非対称モデルとも呼ばれ、ベルトの中心と時計の中心がずらされているケースデザインです。
この形状もまたドライビング時にボタンが押しやすいよう考えられた造りで、レースなどにおいてタイム計測がしやすいデザインとなっています。
またこの時計の心臓部であるキャリバー7A28は世界初の1/20秒ラップ計測を可能としたクォーツクロノグラフを搭載。
7A28はセイコーとしても自信のあるムーブメントだったようでジウジアーロの他モデル、通称エイリアン2やアナログライダース、モトクロスなどのモデルに、またセイコーオリジナルのスピードマスター数種にも搭載されました。
エイリアン2モデルは映画内でヒロインのシガニー・ウィーバーが腕にしていたことで人気が急騰。この映画にはシドミードも関係していたのでそりゃ欲しいですよね。
現在でも7A28を搭載した腕時計は人気が高く、その人気は世界に広がっています。

 

このオフセットモデルはデザイン・カラーリング共に最もジウジアーロらしい1本かなと僕は思います。
ただ残念ながらこちらの個体はクロノグラフの秒針がうまく進まないことがあり、時計としては機能しておりますがクロノは難アリとなります。
オリジナルブレス 1982年製

 

 

 

 

 

ジウジアーロはカーデザイナーとして広く知られ、アルファロメオやフォルクスワーゲン、フィアット、ロータス、BMW等々の世界的に有名となった車を数多くデザイン。日本でもいすず117クーペやピアッツァ、スバル・アルシオーネなどをデザインして話題となりました。
インプションではオカムラのコンテッサやバロンといったワーキングチェアをよく扱っています。

 

皆さんが一番知っているジウジアーロデザインの車種というとバックトゥザフューチャーのデロリアンDMC-12でしょう。
残念ながら2020年の今でも車は空を飛んだり、時空を超えたりしてませんね。

 

 

 

NUTS Collection “essence/エッセンス” 限定300本 オートマチックモデル 2009年発売
Design : Syd Mead / シド・ミード

 

 

こちらはNUTS Collectionから2009年に発売されたシドミードデザインの腕時計「essence」のオートマチックモデル。
2000年頃に発売されたクォーツモデルは999本限定で即完売。
このオートマチックモデルはさらに少ない300本限定で販売されたのでさらに貴重な1本となっています。

 

シドミード好きなら見てすぐ納得するシャープなラインで構成された文字盤。
中心軸のリングが重なる浮遊感あるデザインやブラック・ブルー・ホワイトの配色はミード感たっぷりでしょう。
モデル名のエッセンスは”時間のエッセンスを抽出して一日をブロックに分けて見る”の言葉通り
12時から6時の間に設けられたアーチ状のラインはそれをより明確に分類するためのシンボルとのことです。
そしてそのラインはベルトにまで繋がり一つのデザインとして完成しています。

 

これ今見てもメチャメチャカッコよくないですか?
なんか最小の装飾で未来をイメージさせることに成功してるというか、シドミードにしか出来ないデザインな気がします。
しかも自動巻きという機械式のムーブメントがくすぐりますよね。
機械はシチズン系列ミヨタ社の物で高級ではありませんが安心の日本製です。
スケルトンバックで可動するテンプやローターが視認出来るのも嬉しい構造です。
本体シリアルナンバー入り 箱付

 

 

 

 

シドミードはビジュアルフューチャリストと呼ばれており、インダストリアルデザインやイラストにて独自の世界観を構築。
映画「ブレードランナー」「TRON」「エイリアン2」など数多くのSF映画にコンセプトデザインを提供。
特にブレードランナーにおいては作品における重要な部分をほとんどデザインし、シドミードの名を世界的に知らしめました。
日本でもガンダムシリーズの異端児、∀ガンダムのモビルスーツをデザイン。日本中のガノタをビックリさせました。
それ以前にもZガンダム放映時に氏が描いたMk-IIのポスターがバンダイ販促用に採用されています。

 

2019年の12月にシドミード氏がご逝去されました。
時代を超越する氏のアートはこれからも見る人の心に残ることでしょう。
私自身、たくさんの感動をいただきました。ありがとうございました。

 

 

 

Colani “Wing1” quartz watch 1988年発売
Design : Luigi Colani / ルイジ・コラーニ

 

 

最後に紹介するのはバイオデザインの巨星ルイジ・コラーニ氏が80年代にデザインしたスイス製クォーツの”Wing1”
ジウジアーロのデジタルとは逆の左に20度ほど傾いた文字盤デザイン。
これは普通に腕にはめた際の視認性がよくなるよう考えられていて、カーブした時針・分針も重なった際に見やすくなるよう計算されています。

 

”自然界に直線は無い”といった氏の基本コンセプトにより、生み出す造形は湾曲した物が多く見られ、製造社泣かせのデザイナーであったコラーニ。
それ故、量産されたプロダクトが少ないといった一面もあってコレクションが難しいデザイナーの一人です。
この時計も世界的に販売されることは無く、限定生産で少数が販売されたようです。
フェイスのデザインも凝っていますが、なによりも特徴的なのが上部に穴の開いたベルトの形状。
この形状にすることで手首外側の突起した部分「尺骨」と呼ばれる部分を避けて装着できるので可動時の邪魔にならず、特別な装着感を得られるデザインとなっています。

 

こちらのWing1、非常に希少なアイテムではあるのですが、泣き所であるベルトが劣化しており実用不可の状態となっております。
強く触るとベルトが切れてしまいそうなので電池交換も試せず、時計の稼働も確認できておりません。
専用ケースやタグが付いたコレクション向きなのですが時計はジャンク品となります。
それでも所持している方の少ないレアなアイテムですのでディスプレイ用としていかがでしょうか。

 

 

 

 

 

実はこの時計にはある仕掛けがありまして、クリスタルに息を吹きかけるとColaniの文字とご尊顔が浮かび上がるギミックが!
この気づきにくい仕様もまた、たまりませんね。

 

ルイジ・コラーニは前述の通りデザインしたものの数は膨大ですが、量産品となったものは少ないデザイナーです。
とはいえあるにはあって海外ではZockerという名のチェアやペリカンのペン、Highscreen社のジョイスティックやマウスなど。
他にもありますがプロトタイプのようなプロダクトも多く、世界的に販売されたような物は結構少ないように思います。
但し、この日本ではちょっと事情が違い、80年代が好景気だった時代ということもあって、様々なメーカーがコラーニにデザインを依頼。
結構な数のプロダクトが誕生しています。
今でも比較的見つけられる物として”たち吉”のOVOシリーズ。
なんとあの陶器製造のたち吉がコラーニに依頼して洋食器を作っていました。

 

 

このC&Sはカップの底に糸尻が無い形状で、ソーサーに置かなければ倒れてしまうものでした。
意図はわかりませんが行儀よく使いなさいという感じでしょうか。

 

また玩具メーカーのタカラから発売されたチョロQなんてのもありまして。(僕はこれでコラーニを知ったのですが)
これは他のチョロQとは一線を画す仕様でした。
まず大きさが普通のチョロQよりも大きく、一緒に並べられないといった不具合から始まり。
誰も知らない車種(4タイプ)、ちょっとカッコ良いカプセルケース、ケース周りに貼られたおじさんシルエットのシール。
これは子供達には受けなかったでしょうねー。

 

他にもマルエムのスーツケースやサカイのナイフ、プリンスのライター、キャノンのカメラ(これは氏が認めてないとかの話もあったり)など日本では結構な数のメーカーがコラーニ氏と仕事をしています。
あとはExpo’85 つくば科学万博の際に芙蓉ロボットシアターで蠢いていたベイビーロボットなどをデザインしており、これの玩具もありました。
ご興味のある方はコラーニで検索してみてください。
氏のデザインが曲線の魔術師と言われる所以を感じられることと思います。

 

そしてルイジ・コラーニ氏もシド・ミード氏より少し早く2019年の9月にご逝去されました。
スペースエイジが好きだった私にあらためてデザインの楽しさを教えていただきました。
氏の書籍などは今でも大事に所持しています。
ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

長々とおっさんの戯言にお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
今回はデザインという観点から楽しめる腕時計をご紹介したかったのと、お二人のご冥福をお祈りしたくブログを書かせていただきました。
腕時計は好きになるとどんどん高級なラインに行きたくなりがちですが、比較的安価でこのような面白い物もあることを知っていただければ幸いです。
また当時購入されてタンスに仕舞ったままになっているこれらの時計をお持ちでしたら、是非このおっさんにご相談下さい。

次回のネタもありますので、そのうちにまた登場します。

 

 

wrote by インプションで歳が上から2番目のおじさん

 

 

 

 

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